旧御礼文
※バレンタイン



今日は最悪な日だ。




「うわぁぁぁぁあ!」


昨日は雨で憂鬱だったが、今日は雨雲もすっかり消えて太陽が出ているおかげで少し暖かいし、アネゴに"本命チョコ"(ここを強調しないと自分がそうだと勘違いする馬鹿がたくさんいる)を貰って、家で留守番をしている今日とゆう日を呪いながらも希望を捨てきれずにいる哀れな馬鹿二人に同情を買って帰ってやるかと思い、歩きだしたまではなかなかいい日だったのに。


「てめえ今なにしたコルァ!!」


足元を見ながら進もうとしたら前を見ていなかったため人にぶつかってしまった。
すいません、と言いかけてやめた。
謝っても意味のない顔が見えたからだ。

せっかくアネゴにチョコを貰っていい気分なのを、こんな奴のせいで台無しにしたくなかったからあからさまに嫌な顔をして、悪態をついて早々と横を通り過ぎようとした瞬間
傘を持ってる手とは逆の手を掴まれた。
何が起きたのか分からなかった。
ただ手を離されて、もうある程度の距離を取って立っていることに気付いた時、左頬が少し生温いことにも気付いた。
左頬とゆうよりは頬と唇のちょうど境目、すごく微妙な位置だ。


こいつは、こともあろうかそんな微妙な位置に口を押し付けてきた。
正確にはそれからベロリと舐められた。



「何って、チョコがついてたんで貰っただけでぃ。なんてったって今日はバレンタインだぜぃ?」

「ふざけんなぁぁあ!てめっぶっ殺してやるヨ!」

「やれやれ、まだわかんねー程ガキだったか」

「殺す!絶対殺してやるネ!!」

「っと、今日は遊んでる暇はねーんでぃ。じゃあな。はっぴーばれんたいーん」


ムカつく間延びした声を出して去って行った奴をこれ以上ないほど殺気を込めて睨んでやったがすぐに曲がり角へ消えてしまった。

いやだ、気持ち悪い、落ちろ!落ちろ落ちろ落ちろ!
頬が擦れてヒリヒリと痛くなるほど手の甲でごしごしと拭いた。



だが何が嫌だって、雨上がりの水溜まりに映った自分の顔が見たこともないくらい真っ赤なのが一番許せない。

そのせいで腹が立ってきたので顔を上げて思い切りその水溜まりを踏ん付けて家に猛ダッシュで帰った。



(神楽ちゃんどうしたのその足!?泥だらけだよ!)
(チョコレートアル!)
(嘘つけ!)




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テーマ「人外ファンタジー」
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