戦う貴方を初めて見ました
こんなにも怒りに染まる貴方を初めて見ました
いつも知らない間に傷を作ってきては、何もなかったように家の敷居を跨いでくる貴方を見て、何も知らないで平和に過ごしていた自分が悔しくて仕方がなかったんです
せめて自分もその場にいれたなら、と何度思ったかわかりません
貴方の目に映る、貴方が護ろうとするものを自分も見れたらと
けれど
あんなにも強く願っていた"その場"に私はいるのに、ちっとも嬉しくなんかないんです
喜んでいられる状況じゃないのもそうだけれど、そんなことではなくて
貴方が貴方じゃないみたいなんですもの
目は野生の獣みたいに鋭くて、(いつものあの目はどうしたんですか?)髪の毛や肌や服には返り血なんだか自分の血なんだかわからないものがべっとりとついていて(綺麗な銀髪が台無しだわ)
昔、戦争に参加して大層な名で呼ばれていたらしいけれど、その頃はきっとそんな顔で戦っていたんでしょう?
過去の貴方は話さないから聞く気もないですけど、今の貴方が私が知らない貴方になってしまうようなことは御免です
「私、戦う銀さんは嫌いです」
何処かへ行ってしまいそうな貴方を引き止めなければと思って出てきた言葉は、たったそれだけ
「戦わなければいけないこんな世の中も嫌いです」
"遠くへ行かないで"と言えばいいのに口から出てくるのはそんな言葉ばかり
貴方が可愛くないと言うのも間違っていないかもしれませんね
「…そーかい」
そう言って困った顔で笑う貴方のその顔も、見れなくなるのはやっぱり嫌なんです
だからどうか
世界が平和でありますように