捧げ物 | ナノ


▼ 女心と春の空 (4/13)

オレがその提案を聞いた翌日には、名前は既に五代目にサクラといのの休暇を申請をしていた。
事情を知った五代目は快く承諾した。
しかしそれならもっと大勢で賑わおうと、紅班やガイ班にも休暇を出し、さらには中忍試験でお世話になった方々や五代目自身や……
気がつけば、名前の企画したお花見は、相当大掛かりな物となっていた。
そして花見の日は、河原沿いで咲き始めた川津桜が満開を迎える三日後に決定し、その三日後が訪れるのが明日だった。

桜といえば定番と思われているソメイヨシノの開花を待たなかったのは、年度が新しくなると下忍が増え、その手続きで忙しくなるからという五代目の個人的な都合かららしかった。
しかしそれでも数ヶ月ぶりに休暇が取れたと浮かれる輩も少なくなく、その騒ぎの中で、発案者の名前は完全に紛れてしまった。
恐らく明日集まるであろう者たちは知らない。
この集会の本当の狙いを知っている者は、オレたち二人の他に五代目しかいない。


辛い思い出は、楽しい思い出で塗り替えちゃえばいいんだ――

いつだか、名前が言っていた。
どんなに辛い事があっても、今傍で笑い合える仲間が居れば、全て帳消しだと。
それはサクラの事に限らない。
今、こうしてオレが名前の隣にいられるのも、その広い心あっての事だろう。

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