▼ 6.痛みに誓う決意 (11/13)
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いきなりの中忍登場で、あちらがまた同じレベルの忍を投入することはない。
となると、タズナだけでなく、全員がまた危険にさらされる。
さすがにカカシ一人で全員を守りながら戦うのは難しい。
一対一において負ける気はなくとも、人質をとられたら一気に形勢逆転だ。
ナルトの傷はともかく、やはりソラは里に置いてきた方がいいかもしれない。
カカシがそう考えることをこの少女は見越していたのだろうか。
――他に人はいませんか?
カカシの視線に気づいたソラが一瞬怯んで顔をうつむかせ、具合でも悪くなったのかと思った頃やけに芯のある声でそう聞いてきた。
なるほど、上手い切り出し方だと感心する。
里を出てから続いていた人の気配は、今はもう感じられない。
木陰で息を潜めているわけでもないようだ。
つまりソラを訝しがっていた奴らも、すでに警戒を解き尾行を中断している。
念には念を入れて、しばらくは様子を見ていたが、もう大丈夫だろう。
追っ手は、監視者はいないか――あたかも次なる刺客を警戒しているように見せかけて、さり気なく聞いてきた。
きっとこの聞き方なら、サスケでさえソラが自分の身を案じているようにしか思わない。
万一怪しまれたとしても、いくらでも言い訳のきく言い方だ。
「――いいや、いないよ」
これが合図だ。
途端ソラの瞳が妖しく光る。
里を引き返すのに何か異論がありそうな感じだ。
「カカシ先生。私がイルカ先生になんて説得されたか、分かります?」
「おいおい、ソラ…。いきなりぶっちゃけすぎてなーい?」
誰にも見張られてないからと言って一気に切り込みすぎだ。
瞬時に事情を悟ったサスケは、すでにカカシの背中へ鋭い視線を向けていた。
とりあえず場を和ませようとしたカカシだったが、
「茶化さない」
間髪入れない返答に、気圧されてしまった。
なんだよこの子は――ガキのナルトよりも、乙女全開のサクラよりも、スカしたサスケよりも扱いづらいじゃないか!
「私はこう言われたんです」
「ん」
「オレたちを信じてくれ、と」
鼓動が、高鳴った。
「私はカカシ先生を信じてこの任務についてきました。今さら、裏切るんですか?」
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