▼ 6.痛みに誓う決意 (9/13)
カカシは続ける。
「依頼は橋を作るまでの支援護衛という名目だったはずです。敵が忍者であるならば迷わず高額なBランク任務に設定されていた。
何か訳ありみたいですが、依頼で嘘をつかれると困ります。これだと、我々の任務外ってことになりますね」
あくまで追い詰めるようではなかったが、淡々と話すカカシに、タズナの表情もどんどんくもっていく。
一方で、訳あり、と聞いたサクラが敏感に反応した。
もしそれが本当なら、次に襲ってくる敵は、きっと中忍では済まされない。
聡い彼女は下忍の中の誰よりも早くそのことに気づいてしまったのだろう。
「この任務、まだ私たちには早いわ…。やめましょ!ナルトの傷口を開いて、毒血を抜くにも、麻酔がいるし…里に帰って、医者に見せないとっ」
なりふり構っていられないという様子だった。
ナルトを気遣うようでサクラが保身を考えていることは明らかだったが、同じように恐怖していたソラにはその気持ちが痛いほど分かった。
いくらカカシが強くても、次も平気だという保証はどこにもない。
「んー」
思案顔になったカカシが、ナルトを眺めてつぶやく。
「こりゃ荷が重いな。ナルトの治療ついでに里へ戻るか」
そう言ってサクラの提案が受入れられた直後だった。
ナルトが、突飛な行動に出た。
「どうしてこんなに違う。どうしてオレの方がいつも…ちくしょおーッ」
「ナルトッ!何やってんのよあんた!」
ナルトは右手で振りかざしたクナイを、ためらいなく自分の左手に突き刺した。
赤い――赤い鮮血が、流れ出す。
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