時空の死神 | ナノ


▼ 6.痛みに誓う決意 (8/13)

***

カカシはひとまず捕らえた敵を木にくくりつた。
その手つきは手慣れていて、タズナを待たせるほどの時間もかからなかった。

縄抜け――とソラはアカデミーの卒業試験の記憶が頭をよぎった。
もしそれを使われたら、一巻の終わりではないのか。
そう思うも、カカシはまったく気にしていないようだった。
よほどの自信から考えるに、どうやら縄抜けは万能ではないらしい。
忍術ではなく体術の類なのかもしれない。

「霧隠れの中忍ってとこか……。こいつらはいかなる犠牲を払っても戦い続けることで知られる忍だ」

「…なぜ我々の動きを見切れた」

縛りあげられた片方がうめいた。
いかにも悔しそうに言うが、カカシに種明かしされてしまえば何のことはない。

「数日雨も降っていない今日みたいな晴れの日に、水たまりなんてないでしょ」

だいたい忍なら、木の影に潜むだけで十分だったのではないか。
わざわざ見つかるリスクを背負って敵の目に触れる必要はなかったはずだ。
それとも登場の仕方が地味だと視聴者の気を引けないから――と、いけない。
人にはそれぞれ事情がある。

「あんた。それ知ってて何でガキにやらせた?」

確かにそうだ。
敵が来ると分かっていて、やられたふりをしてから背後をとる。
意表をつくという意味では味方を含めて大成功を収めたが、カカシほどの忍者が、わざわざそんなまどろっこしいことをする意図が見えてこない。

「私がその気になればコイツらくらい瞬殺できます。が、私には知る必要があったのですよ。この敵のターゲットが誰であるのかを」

純粋なタズナさんの問いかけを糸口に、カカシが一気に話の核心をついた。

「ん、どういうことだ?」

あくまでもしらばっくれる依頼人。
タズナ、最後の抵抗だった。

「つまり狙われているのはあなたなのか、それとも我々忍のうちの誰かなのか…ということです。
我々はあなたが忍に狙われてるなんて話は聞いていない。依頼内容は、ギャングや盗賊などただの武装集団からの護衛だったはず。これだとBランク以上の任務だ…」

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