▼ 6.痛みに誓う決意 (7/13)
***
敵が標的を変えサクラに向かうのを、ナルトは目の前で見ていた。
サクラはソラとタズナをかばうように立ちはだかっている。
そしてそのサクラをかばうように、敵との間に割り込んだサスケ。
さすがのアイツもやられる、ナルトがそう思った瞬間だった。
「――よっ」
颯爽とカカシが現れた。
「え、じゃあアレは…」
はっとして後ろを向くと、カカシがやられたはずのそこには、バラバラに砕けた木片が落ちていた。
「カカシ先生…変わり身使ってたのか……」
「ナルト…すぐに助けてやらなくて悪かったな。ケガさしちまった。……お前がここまで動けないとは思ってなかったからな」
意識を失った二人を抱えたまま、カカシはサスケとサクラのところまで歩み寄った。
そして言う。
「とりあえずサスケ、よくやった。サクラもな」
強張った表情でナルトは皆を見つめる。
そして一線引かれたように、自分だけが遠い位置にいることに気がついた。
二人は誉められて、自分には何もねぎらいの言葉がなかった。
ナルトにはその理由がすぐに思い当たった。
――そうか、オレってば何も出来なかった…。
それなのにサスケは、初めての実戦なのに、ちっとも怖いとは思わなかったのだろうか。
平気な顔して、服に汚れ一つつけずに、サスケはナルトを助けた。
そのサスケが振り向きざまにナルトに言い放つ。
「よォ…ケガはねーかよ、ビビリ君」
ナルトの中で、ぐわっとこみ上げるものがあった。
「な…く、くッ――サスケェー!!」
「ナルトォー!!」
ナルトの叫びにカカシの怒鳴り声が重なった。
「ケンカはあとだ。こいつらの爪には毒が塗ってある。お前は早く毒抜きする必要がある」
「え」
そういえば、あいつらに切りつけられていたのだと、思い出した途端ズキズキと痛み出した手を見つめるナルト。
「傷口を開いて毒血を抜かなくちゃならない。あまり動くな。毒が回るぞ」
カカシはそのままナルトを素通りし、押さえた声でタズナに話しかけた。
「ところでタズナさん」
「な…何じゃ…!」
「ちょっとお話があります」
prev / next
←back