▼ 5.波の国へ超出発! (6/10)
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「――して、相談なのですが、そこの子も一緒に波の国まで連れて行ってもらえませんかな」
火影が依頼主のタズナとの交渉を始めた。
依頼をもらうときはいつものことなのに、サクラの視界の隅にいたソラの肩が、微かに震えた。
どうしたんだろう。
確かに里の外に行くことにはサクラも不安を感じていた。
いつどこで敵に襲われるか分からない状況では気持ちが休まらないだろう。
しかしサクラが見るソラの反応は、もっと違うものに怯えているように思えたのだ。
「なに言ってんだァ?任務っていうのはスリーマンセルが基本なんじゃあないのか?そいつを入れたら四人になっちまうぞ」
「その子は常に護衛が必要な特別な子でして、ちょうど今、他の里の者の手が空いていないのですよ。里の外に出すのは私も心配ですが、なあにCランク任務です。任務に差し支えはないでしょう」
「つっても、そいつも超ガキじゃあないか。それに忍者ってわけでもなさそうだ。そんなんで本当に大丈夫かァ?」
「任務につくのは下忍になったばかりの者たちばかりですが、担当上忍がついております。木ノ葉でも屈指の忍ですわい。それに――」
「なんだァ?」
「支払い金額は通常のCランク任務よりももちろん安くなりますが。どうですかな」
「…その話、のった!」
タズナが酒を一口煽り、話はきれいにまとまった。
火影もタズナも満足そうな顔だ。
だがしかし、最終的にお金で解決させる場面であるなら、見たくはなかった。
「なんか嫌な感じね」
サクラは自然を装ってソラに近づいてみた。
ソラは相変わらず体を強ばらせたままで、生返事しか返さない。
「ソラさん…この任務嫌なの?」
絶対に胸の内は明かしてくれない。
サクラからすればそんなイメージのソラだったが、試しにカマをかけると、案外簡単にボロを出してくれた。
ようやく届いたサクラの声は明らかにソラを動揺させている。
「う、うん…」
「なんで?そりゃあ私もめんどくさいけど、カカシ先生がいれば平気よ。私もソラさんを守るし、サスケ君だって――」
「ねえねえサクラちゃん、オレは?オレはぁ?」
「…うっさい、ナルトは黙ってろ」
「で、お前は何をそう怖がっている。また例の、お前の世界から見た、オレたちの世界の話に関係あんのか?」
「――うん」
サスケの問いかけには、有無を言わさず納得させる何かがあった。
そしてソラの返事も、イエス。
ということは、これって危険な任務なんじゃ…。
「なーにこそこそしてんの?」
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