▼ 5.波の国へ超出発! (4/10)
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「けどオレってば、もうじいちゃんが思ってるようなイタズラ小僧じゃねーんだぞ。フンッ」
ヘソを曲げるナルトを見て、心の中で火影は笑っていた。
まったく、カカシの言うとおりだのォ…。
先日の上忍招集の際に、ソラを一度里の外に連れ出す案がカカシから提案された。
火影は事前に根回しをされていたためスムーズに話は進んだが、いかに自然にソラを連れ出すかについて、いい大人がうなりをあげて悩んでいた。
それを解決したのもまたカカシだった。
『あーそれなら問題ありません。うちのナルトがそろそろ駄々をこねる頃でしょう。それに乗じて任務をくだされば、きっとソラも怪しまないと思います』
たったそれだけの言葉で納得させてしまった。
そして納得しない者は変化をさせてこの場に呼ぶ。
任務を言い渡すだけの執務室に、実は数名の上忍がまぎれていることを、ソラは知らない。
あくまで自然に溶け込もうとしているが、不信感を持った視線は時折ソラを射抜いていた。
カカシは当然それに気がついている。
しかしサスケですらナルトのやり取りに注目している中で、ソラが何かを気取ることはなかった。
ここまで至近距離で監視をさせているのだ。
己の目で見届ければ、おいそれと文句を言うこともできまい。
さすが出世の早い男は頭が回ると、火影も感心をした。
だが今、それよりも火影の心を占める想いがあった。
それは目の前のナルトのことだった。
悪戯でしか自分を表現できなかったナルトが――いつの間にか、変わろうとしている。
「よし分かった」
「ん?」
「お前がそこまで言うなら、Cランクの任務をやってもらう。ある人物の護衛だ」
とうとう火影が折れると、ナルトは一気に目を輝かせた。
「…本当っ!?誰、ダレ!?大名さま?それともそれともお姫さまァ!?」
「そう慌てるな、今紹介する。入ってもらえますかな?」
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