▼ 3.新しい服 (8/11)
――ドオォォォーーン
腹の底にまで響く爆音を、身体を強張らせてソラは耐えた。
あ、死んだ。
絶対死んだ。
ナルトのせいで死んだ。
爆死した。
心の声が口に出ていたのか。
呆れたように吐き出された溜め息と、不器用な気遣いの言葉がソラの耳に届いた。
「ったく、世話かけんな…ケガはねーかよ?」
衝撃に備え、顔の前で交差させていた腕をずらす。
「…サスケ?」
「あ?」
数秒前までソラがいた場所には焼死体、ではなく、丸焦げになって虫の息のナルトがいる。
そしてソラはサスケに抱えられ、サクラの隣まで移動していた。
「ソラさん、大丈夫?」
「…なんとか……サスケ、ありがとう…。……ていうか、おろして…?」
どうせならお姫さま抱っこが良かった、なんて乙女チックなことは言わない。
だが、真っ正面から低姿勢でソラに突っ込んできたであろうその抱きかかえ方は、ステキに鳩尾に肩が食い込んでいた。
あの距離を一気に移動するのに瞬発力は必要だったのだろうが、腹筋もないソラにはかなりのダメージだった。
サスケがソラを下ろす間に、サクラの鼻が何かを嗅ぎつけた。
「なんか焦げ臭いわね…」
そこにちょうどナルトがふらふら近づいてくる。
「ちょっとナルト!臭いからこっち来ないで!」
「そ、そんな〜、サクラちゃん、オレってば、ケガしてんだぞ〜」
情けない声を出すナルトに容赦なく蹴りを入れるサクラ。
「そんなの自業自得っていうのよ!」
「いや、サクラ、ナルトだけじゃない」
サスケの言葉にびくりとしたソラは、服の裾を押さえて後ずさりした。
しかし逃げるを許さないサスケの指が、ゆっくりソラを指す。
「こいつも、服が焦げてる」
振り返るサクラの顔は先ほどとは打って変わって笑顔で、ソラにはそれが本当に本当に怖ろしかった。
――翌日、空は晴々と澄み渡っていた。
「さ、行きましょう、ソラさん」
サクラの機嫌も良好。
家の前で待ち構えていた彼女に、逃亡寸前だったソラはあっさり見つかり、引きずられるようにして街に繰り出した。
昨日焦がしてしまった裾は、短く折ってピンで止めている。
ナルトのせいで露出度が高くなってしまったこの服を見れば、少しだけ諦めもついた。
サクラが丸焦げのナルトを脅して服代を押収してしまったし、新しく服を買い足さないわけにもいかない。
「それじゃあ、まずは服の調達でもしましょうか!」
こうしてサスケ不在にも関わらず、やけにテンションの高いサクラに先導され、呉服屋巡りが始まった。
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