▼ 3.新しい服 (7/11)
ややあって、サクラとサスケが合流する。
息を切らせて走って来たようだ。
ソラたちを見つけると、胸に抱えていた犬をおろした。
「よかったーやっと追いついたわ!」
「なんだ、ゆっくりくれば良かったのに」
せっかく二人きりにしてあげたのに、ソラがそんなニュアンスを込めて言うと、
「だって、ね…」
サクラはちらりと視線をサスケに向けて、
「ほら、チームワークが大切だから、早くナルトを助けに来なきゃと思って」
サスケが急かしたらしいことを伝えてきた。
そういうことかと苦笑する。
「で、ナルトは?」
「オレってば、もう大丈夫だってばよ!」
「はいはい、ソラに助けられたからね」
「な、カカシ先生、それは言わなくても」
「なにそれ、ナルトダサッ」
サクラの精神攻撃が炸裂する。
グハッ、と声に出し、大げさにへたり込むナルトの手から、するりとひもが抜けた。
自由になった犬はそのままトコトコと歩き出す。
「お、おい、ちょっと犬っころ、どこ行くんだってばよ」
慌ててナルトが立ちあがり、犬を追う。
しかしひもを掴んだはいいが、力負けして引きずられている。
「止ーまーれーッ」
ナルトを連れてどこかへ向かう犬。
「ソラー!!手伝ってくれってばよー!」
「はいはい……」
「あの馬鹿…」
「あー…無理してあんな犬持つからー…。ソラさん、そっちはトラップ原だから行かない方がいいわよー!」
「え、トラップゲンって、何?」
サクラの忠告にソラは振り返る。
とっさに漢字変換はできなかったが、危険そうな響きだとは直感した。
ナルトには悪いが、ソラはただの一般人。
巻き込まれるの御免だ、ここは逃げておこう――と思って逃げ腰になったところで、腕をガシッと捕まれた。
「ちょっとナルト離してよ!」
「ほら、ソラさっきみたいにこの犬止めてくれってばよ!」
「あんたが掴んでたら手ぇ叩けないからッ」
「離したら逃げるんだろ!?」
「当ったり前じゃん、一般人を巻き込むなー!」
「お願いだから助けてくれってばよー!!」
しかしそうこうしているうちに、ナルトの足が魔の領域に踏み込んだ。
カチッと、嫌な音がした。
冷や汗をかくと同時に、そんなものを蒸発させそうな勢いで熱風が襲ってくる。
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