時空の死神 | ナノ


▼ 3.新しい服 (5/11)

それにしても、とソラは思う。
サクラの名前負けしないその愛らしさ。
もし自分がサスケの立場だったら、少しは気になっても不思議ではないのに。

そう思ってサスケを見ると、ちょうど視線が絡まった。
しかし気まずいと思う間もなく、お得意のフンッを使われすぐに逸らされてしまう。

あからさまに避けられ、ソラは苦笑する。
ナルトに比べて嫌われるようなことをした覚えはないが、逆に好かれる努力をした覚えもない。
あれだけ好かれようと必死なサクラすら鬱陶しがられているのだから、自分ばかりに問題があるとも思えない。
それより、今まさに直面している問題から片付けるべきだ。
サスケのことは一先ず保留にし、ソラはサクラの隣に行くと、火影様に何を贈ろうかと具体的な話を進めることにした。

しかしその話になると、饒舌だったサクラもやや大人しくなった。
無理もない。
身近に感じるから忘れがちだけれど、火影は木ノ葉のトップだ。
ソラのいた世界に置き換えると内閣総理大臣か。
そんな人の嗜好なんて、知らないどころか興味もない。
無難に食べ物でもあげればいいのかと思ったけれど、アレルギーがあれば嫌がらせにしかならない。
そもそも恵んで頂いているお金でプレゼントをするのは、いかがなものか。

数学なら、ぱっと答えが出るのに――。

今まで使わなかった部分の頭をふんだんに使っても、決断ができない。
そんなもどかしさを感じていたとき、遠くから助けを呼ぶ声が聞こえた。
かなり前方、もはや影も形も見えないナルトの声だ。

「なんだろう」

「どうせまたナルトの馬鹿がヘマしたんでしょ」

「あのドベ、あんなに勇んでたのに、結局はコレか…情けねーな」

「え、行った方がいいのかな」

「いいわよ、あんな奴ほっとけばいいんだって」

ナルトの失敗には慣れているのか、サスケとサクラの反応は存外冷たい。
どうやら助けに行くつもりはないらしく、変わらずゆったりとした歩調だ。
たまらず最後尾を振り返れば、その視線に気づいたのか、カカシが文字を追うのをやめ、ソラを見返してきた。

「ま、あれでもオレの部下だ…オレが行ってくるよ」

実に面倒くさそうな物言いではあったものの、今の今まで梃子でも動きそうになかったカカシが、ようやく本を閉じる。
そしてナルトの声のした方に神速で向かっていった。
なんだかんだ、カカシは動くときは動いてくれる。
頼もしい上司の背中を見つめてから、

「じゃあ私も行ってくるね」

サクラにそう言い残し、ソラもカカシを追って走りだした。

「え、ちょ、ソラさん!?」

一瞬慌てる二つの気配だったが、私の脚力でもすぐに引き離せた。
走り出そうとした二人を、のんびり歩きたい犬が押しとどめたのだろう。

よし、計画どおり。
心の中でガッツポーズをきめたソラは、二人を置いて先を急いだ。

カカシの姿はもう見えない。
だけど場所を特定するのは簡単だ。
里中に聞こえているのではないかと思えるナルトの情けない声を頼りに、ソラは風を切って走った。

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