時空の死神 | ナノ


▼ 2.出会い-後編- (9/10)

この世界に来てから、初めて声を出して泣いた。
拭っても拭っても、切りがないほど溢れてくる涙に戸惑うソラだったが、いつまでもこうしていたいと、切に願った。

私らしく、ない。
そう言われれば、そうかもしれない。
けれど、それも、いいかもしれない。

誰かに本気で向きあってもらうことが、こんなに嬉しいなんて思わなかった。
ソラはナルトが大嫌いで、ナルトもソラなんか大嫌いだった。
なのに、今は誰よりもそばにいてくれようとしている、それがソラには嬉しい。
目の前にいるナルトは、確かにアニメの中と一緒で、馬鹿でドジでどうしようもない奴で…それで、この世界でちゃんと生きている。

そして私も、ここで生きている。
火影様が居場所を与えてくれたから。
私は、ここにいる。

「ナルト、ありがとう」

それを教えてくれたのは、あんただ。

「もう、いいから…」

低音で響いた優しい声。
語彙の少ないナルトが、精一杯気を遣ってくれているのが分かった。

もう、いいから。
その言葉がソラを包む。
すべてを、許された気がした。

真っ白な世界の中、ナルトが優しくソラの手を引く。
その先に何があっても、隣にナルトがいてくれれば、乗り越えられる。
そんな気がしていた。

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