時空の死神 | ナノ


▼ 2.出会い-後編- (6/10)

カカシの指摘はもっともだった。
ソラの元いた世界も、誰かの想像したまやかしの世界だった可能性がある。
例えば神話に登場するような神が実在して、ソラを操っていたのかもしれない。
違うと証明する手立てはないのだから、完全に否定はできない。

しかしソラはあそこで生きていて、少なくともあらゆる選択を自己決定しているつもりでいた。
この世界のナルトも同じだ。
それを決められた運命に沿って生きているだけだと言われたら、努力しても意味がないと言われたら、怒りを感じるに決まっている。

しかし、それでも。

「私だって頭にきたんだ」

自分の世界を否定され、私の存在そのものを否定された気がした。
けれどソラがナルトを傷つけてしまったのも事実。

やはり謝らなければいけない。
嫌だ、あんな奴に謝りたくない。
だけど謝らなきゃ…。

謝るべきなのは、分かっている。
知らない世界で精神が不安定だからなんて甘えてられない。
己に非があるのに認めないのは、人として最低だ。
それは例え世界が違っても変わらない。

だからソラはこうしてナルトの家へと続く階段下で、彼の帰りを待っていた。
しかしいざ対峙してみて、そのとき何を思うか、何をするか、本当のところは、ソラ自身にも分からない。

イルカに許可を取って借りた本は、すぐに読み終わった。
手掛かりはなかった。
期待はしていなかったけれど、落胆した。

ソラ、お前もいい加減、この世界を受け入れろ――。

ここ何日か、カカシに言われた言葉がソラの頭をよぎる。
認めてしまえば、楽になれるかも知れない。

だけど、それで、その後は?
その後私は、どうすればいい?

色々なことを考えた。
木ノ葉の夜も、静かで長い。
考える時間はいくらでもあった。
感傷に浸って打ちひしがれる時間も。

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