▼ 2.出会い-前編- (11/15)
「忍者は裏の裏を読め。てことでお前は、異世界からきた奴じゃねー!」
考えた末に自信満々でそう言った。
サスケより先に正体を暴いた喜びで、ニッと笑って先生を見たけれど、反応はあまり芳しくない。
それどころか、カカシは呆れた様子で溜め息をついた。
「あのなーナルト。この子は本当にこの里に迷いこんじまった異世界の住人だ」
「へっ、残念だったな、先生。オレってば賢いから、もうそんな手には引っ掛からないってばよ!異世界なんてあるわけないない!」
「ナルト!!」
止めたのはサクラだった。
気がつけばサクラは真剣な面持ちで、ナルトの言葉を遮ろうとしていた。
サスケはいつも通りウンともスンとも言わないし、カカシ先生も未だ合格をくれようとしない。
なんだか、これ以上話を続けたらいけないような、そんな雰囲気をナルトは感じ取った。
そんな中、突然ソラが話し始めた。
「ナルトって…」
「ん、なんだってばよ?」
名を呼ばれ、ナルトが反応をする。
「アニメなら終わりがあるから耐えられるけど、」
「けど?」
「実際一緒にいると、かなり苦痛」
「…………」
「…………」
「…………」
強いられたわけでもない沈黙が、長く続いた。
「…おい、誰か一人くらい否定してくれても、いいんじゃねーの?」
多少の引っ掛かりを感じてナルトがじとっとした視線を同じ班になった仲間に投げ掛けると、三人そろって明後日の方向を見ていた。
そして口々に言い訳めいた言葉を呟く。
「いや、なんかな。違う世界から来たと認めたはいいが、実感は沸いてなくて…その、なんだ?」
「オレも、今の今まで半信半疑だったが、今度こそ確信した」
「私も…なんていうか…」
ソラは――
ナルトのことを、よく分かってる。
「心の声、だだもれだっつーの!カカシ先生も忍なら感情を表に出すなー!!」
「いや、スマン、つい」
「ついじゃなーいッ!それにお前!!」
「何?」
いきなりの飛び火にも、ソラは動じなかった。
嵐が過ぎ去ることをしか望んでいない、興味のなさそうな調子で応じる。
その態度がよけいにナルトを苛立たせた。
「見え透いた嘘でオレを騙そうったって、そうはいかねえってばよ!」
「嘘?」
「そうだ、異世界ってなんだ!?命懸けて里のモンを守ってる忍者に向かって、ガキでもないお前が、お伽話披露してんなよ」
「お伽話?」
「ああ、そうだよ。カカシ先生もカカシ先生だ、なんでこんな奴の言うこと真に受けてんだよ、くっだらねぇ!!」
「…くだらない?」
ナルトの単語を拾っては疑問形でばかりで返していたソラの声が、急に険を含んだものとなった。
怒りに満ちたサクラよりも静かで、だけどサスケのような凄んだ目つきに、思わず怯んだナルトは息を呑む。
だが先にこけにされたのはナルトだ。
曲げられない男は、今さら引き下がることができないでいた。
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