時空の死神 | ナノ


▼ 7.不可避の選択 (10/16)

***

カカシが写輪眼を晒すのは久しぶりだ。
ソラが来たばかり頃、病室での一件以来。
使用という意味であればさらに前になるだろう。

下忍とのDランク任務で感覚が鈍っていないといいが…。

うちは一族がほぼ壊滅してしまった今、写輪眼はすっかりカカシの代名詞となっていた。
“写輪眼のカカシ”――その通り名で他国まで広く知れ渡っている。
切り札の登場にさすがの再不斬も余裕を見せてはいられないのか、体勢を整えるようにカカシに向き直った。

いつ火蓋が切られてもおかしくない。
先手を打つのはどちらが先か。
そんな状況の中、真っ先に動きを見せたのは、左隣に待機させた部下だった。
ついにナルトががなり始めた。

「さっきからシャリンガンシャリンガンって、なんだ、それ!?」

理解の範囲を超えた展開に、頭がついていかなくなったらしい。
先ほど戦闘に加わろうとしたのを止めたことも手伝ってか、食らいつくような気迫で尋ねてくる。
それに反応したのはサスケだった。

「写輪眼――眼光が生みだし、瞳が発する力。いわゆる瞳術の使い手は、すべての幻術・体術・忍術を瞬時に見通し、はね返してしまう眼力を持つという。写輪眼は、その瞳術使いが特有に備え持つ、瞳の種類の一つ。
しかし、写輪眼の持つ能力は、それだけじゃない」

「御名答。だがそれだけじゃない。それ以上に恐ろしいのは、その目で相手の技を見極め、コピーしてしまうことだ」

うちはの知識も然る事ながら、それに続く再不斬の補足も非の打ち所がない。

事前に知らせていなかった能力だ。
味方に手の内が分かる者がいれば戦いやすいのは自明の利。
だがそれにしたって状況はよくない。
仲間どころか敵にも情報が筒抜けだということが、今の説明で証明された。

「オレ様が霧隠れの暗殺部隊にいた頃は、携帯していたビンゴブックに、お前の手配情報が載ってたぜ。それにはこうも記されていた。千以上の術をコピーした男、コピー忍者のカカシ」

辺りに霧が立ちこめる。

舟に乗っていた時のものとは違う、人為的に作り出されたものだ。
おそらく再不斬の発動させた術だろう。
その濃度で、次第に再不斬の姿も霞んでいく。

「す、すっげーってばよ…!」

ナルトだけは素直に感心しているらしかったが、カカシにはたしなめる余裕もなかった。
何しろここは湖に囲まれている。
水遁がお得意の霧隠れの忍にはうってつけのフィールドだ。

「お話はこれくらいにしとこーぜ。オレはそのじじいをさっさと殺んなくちゃならねー」

再不斬が戦闘開始を示唆するように、その眼光を鋭くした。
背後でタズナが息を呑む気配がする。
それに誘発され、三人もそれぞれ卍の陣を形成する。

よし、いい反応だ。
ソラもタズナの真横についている。
そうなると再不斬がまず狙うのは、

「つってもカカシ、お前を倒さなけりゃならないようだな」

――カカシだ。

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