気分転換でグラウンドを徘徊していたら信じられないことに、宙に人間が浮いていた。赤い服(ユニフォームだろうか)を着ていて、褐色の額には謎の印、白い髪がゆらゆら揺れている。

あー俺疲れてる。どう考えても疲れてる。だっておかしいじゃん何から何まで!とツッコミを入れかけたそのとき、突如その人間がサッカーボールをどこからか取り出し「デススピアアアアア」と叫んで、ボールを、宙を蹴った。赤くそして黒い閃光が空から襲ってきた。そう、その閃光はボールで、俺に飛んできて、

「がはっ」

俺の腹にボールがクリーンヒットした。そのまま俺はボールごと見事サッカーゴールに吹き飛ばされた。

「ゴオオオオオオオオルううう!ってあっ、ダメじゃなーいバダップー!人にデススピアー打ったらー」
「…?」

サッカーゴールに磔にされ、朦朧とする意識の中で財前礼子の楽しそうな声が聞こえた。もしかしなくても、この、宙に浮いていた人間は財前礼子の関係者…!

「あ、幸村!元気―?」
「この、状況を、見」
「紹介するね!」
「いい加減人の話を聞け!」
「私の友達バダップー!」

あちこち痛めながら、よろよろとサッカーゴールから俺は抜け出す。
フン、とバダップさんは腕を組んでいる。やっぱり関係者だった。財前礼子は何が楽しいのかポスポスポスとバダップさんを叩いている。バダップさんは怒らない。それで良いのか?と聞こうとしたその時、バダップさんが急にしゃべりだした。

「サッカーという危険思想と共に歴史から消えろ!」

口を開いたかと思うと随分物騒なことを言う、というか、

「俺サッカーやってねーよ!」
「その希望を、絶望に変えてみせよう」
「何の希望だよ!」

会話が噛みあわない!ことばでドッジボールやってる気分だ。このままでは埒が明かない上に時間の無駄だ。目を閉じてやれやれ、と首を振ってバダップさんに視線を移す。

バダップさんは、また浮いていた。そして先ほどと同じポーズを取って、

「デススピアアアアア」
「かはっ」

俺はまた同じように、

「ゴオオオオオオオオオオル!」

サッカーゴールにシュートされ、財前礼子の楽しそうな声を聞いた。

「ナイッシューバダップ!」
 40000hit
 ありがとうございました!

「40000hit…関係…ねー、じゃん…!」
「えっ、どうしたの幸村…!つ、ツッコミにキレがない…」
「誰のせいで…!2、回も…打たれたらこうもなる…!」
「へー!そんなことよりサッカーやろうよ幸村!」
「やらねーよ!」



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