「幸村!」
突然後ろから大声で呼ばれ、ハッとして振り替える。
そこには―――財前礼子がいた。 頭が、痛い…。
「細かいことは気にしちゃだめだよ!」 「これ全然細かいことじゃねーよ!」
俺は思わず、条件反射で突っ込んだ。
財前礼子は手にグローブをはめ、笑顔でサッカーボールを持っている。え?キーパー?吹き飛ばされたジャッカルの代わりにキーパー?
「ほう…財前礼子か…」 「知り合いなの!?」
どうやらこのゴーグル男、財前礼子のことを知っているらしい。なんでだよ!
「何を迷ってるのか知らないけど、私が言えることはただひとつ!」 「人の話を聞けよ!」
財前礼子がサッカーボールを地面に置いて、それを踏みながら、グッと親指を立てて言った。なんて眩しい笑顔なんだ。一片の曇りもない、晴れやかな笑顔なんだ。
「幸村、サッカーやろうぜ!」
思わずコクリと頷きたくなる、財前礼子の説得力のある笑顔…そうだ、サッカーやろう、やる、ってやらねーよ!
「だから俺たちはテニス部だって!」 「サッカーやろうぜ!」 「言って、」 「サッカー」 「…」 「やろうぜ!」 「やらねーよ!」 「…」 「…」
財前礼子が満足気に笑う。そして突然ゴーグル男のマントの下に手を突っ込んだかと思うとクラッカーを取りだした。え?そのマントって四次元ポケットだったの?唖然としているうちにクラッカーは、財前礼子の手によってパーン!と派手な破裂音を鳴らした。
「30000hit ありがとうございました!」 「…唐突すぎる!」 「イナズマイレブン劇場版決定、おめでとうございます!」 「だから唐突すぎる!」 「…」 「…」
俺のツッコミも虚しく、目前で財前礼子とゴーグル男が握手を交わした。
「ありがとう、財前」 「フフ、当然よ!」
何が当然なんだよ。全然意味分かんねーよ!チョップで握手をぶった切ろうとした瞬間、財前礼子がニッコリと俺に向かって爽やかに笑った。
「続きは劇場で!」 「やらねーよ!」
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