部室に入ると真田が床に倒れていた。ただ倒れているだけではない。床は血まみれで、真田の背中には深々と包丁が突き刺さっている。どういうことだこれ、何故真田が刺されて、って言うか死んでる?死んでるのかこれ?おそるおそる真田のだらりとした腕を掴み脈を計る。しかし俺の手は面白いほどがくがくと震えるばかりで、とても落ち着いて脈など計れない。どうしよう、真田が死んで、ああ何をしたらいいと言うのか!狼狽する俺の傍らで、ぐったりとした真田が「ブッ」と吹き出した。笑うなお前のせいでこんなに狼狽してるのに!思わず怒鳴りそうになって、しかし出てきた声は存外小さいものだった。

「生き…てる?」

真田はむきりと起き上がり、口から垂れた血をぐいっと拭うと立ち上がってさーっと駆け出した。
…逃げやがったあの野郎!



翌日は部室に入ると仁王が床に倒れていた。せっかく掃除したのに今日も床は血まみれで、頭に矢が刺さっていた。まさか本当に死んでいる訳でもないだろう、と俺は見なかったふりをした。が、俺が着替え始めても仁王は少しも動かない。そんなわけない、そんなことあるわけない、と分かりつつ、あまりにも動かない不気味さが怖くて、震える手で触れると仁王が「ブッ」と吹き出した。そして何事もなかったかのように、頭に矢が刺さったまま着替えを始めた。後から入ってくる部員たちは何も言わないので、俺にしか見えない魔法の矢なんだと思うことにした。我ながら、馬鹿な発想だと泣いた。

更に翌日は柳が軍服で銃を抱えて倒れていて(曰く、名誉の戦死とのこと)、そのまた翌日は丸井とジャッカルがビニール袋を被って倒れていた(息をしていて伸縮を繰り返す袋はなかなか愉快だった)。
赤也がマンボウの着ぐるみをかぶって倒れているときは、何故だか少し笑ってしまった。

最初はイラッとしたこの一連の流れだが、ここまで来ると逆に楽しくなってくるというものだ。きっと、俺を楽しませるために行っているのだろう。さあ、今日は部室でいったい何が待っているのだろうか。


ほんの少し期待してドアを開けると、財前礼子が柳生の背中に包丁を突き刺しながらニマニマと笑っていた。


「どう?柳生、ここ?ここが良いの?」
「グエッ…グッ…フフフ…」
「ウワアアアアアアアアアアアア!!」



(タイトルより前は倉井様に書いていただきました/
某知恵袋パロ)