※倉井様からいただいたヤンマーニ氷帝のつづき! 名前変換 信じられないものを見た。部室の扉を開くと忍足さんが高笑いしていて(何故だろうデジャブを感じる)跡部さんがそれを見て跪いている。何なんだこの状況は…、説明を求めて周りに視線を送るが誰も何も言わない。何で普通にみんな着替えてるんだ。もしかしてこの圧倒的な存在感を総スルーするつもりなのだろうか。というか跡部さんほどのプライドの塊がなんで跪いてるんだ? 「くっ、ここまでか…!」 「フヒヒ…俺の力にひれ伏せや跡部…」 「おのれ忍足の分際で…!」 やけに下品な笑い方をした忍足さんが跡部さんを相変わらず見下す。キラリと丸眼鏡が光った気がするがこれは大した問題ではない。みんな何事もないように着替えをしているし。仕方ない、俺も何も見ていないことにして着替えを…、そう思った瞬間、バターン!という派手な音が響いて部室の扉が開いた。驚いて扉を見ると、見知らぬ女の人が立っていた。 「あきらめちゃだめ跡部!」 「なっ、お前は…!」 「来ると思うとったわ―――、財前礼子!」 財前礼子、と呼ばれた女の人は必死に跡部さんに呼びかける。しかし財前礼子さんは何が苦しいのか、ぶっ、くはあ、と言って一度腹を押さえた。が、すぐ跡部さんに向かって叫ぶ。 「思い出して跡部!私たちは、同じ道を歩んできた同志…!ぶっ今こそ、い、今こそ使って究極奥義を!」 「財前礼子…!ハッ、当たり前だ、誰に向かって言ってんだ!」 「跡部…!」 うるうる、と目を潤ませて(なんだか体も小刻みに揺れている気がする)財前礼子さんは言う。そして跡部さんはゆるゆると立ちあがり、こう、ポーズを決めた。 「 いいぜ ヘ(^o^)ヘ |∧ / てめえが 何でも思い通りに 出来るってなら / (^o^)/ /( ) / / > (^o^) 三 (\\ 三 < \ 三 `\ (/o^) ( / まずは /く そのふざけた 幻想をぶち殺す」 シーン、という文字が見えた気がした。それほどの静寂が部室を包んだ。 のは束の間。 「うわああぁあぁああメガネが…メガネがあぁぁあああぁああ!」 忍足さんは眼鏡を押さえたかと思うと、部室の扉に向かって走り出した。財前礼子さんは何も動かない。そのまま、忍足さんは外に出て行ってしまった。 「跡部…」 宍戸さんがぼそり、と跡部の肩を叩いた後、呟いた。 「お前やっぱり最高だ!お前程最高な奴見たのは初めてだぜ…!」 「ふん、当然のことだ」 あれ、おかしいな俺は今デジャブを感じている。前に絶対あったぞこういうこと。それにしても一体どういうことなんだ本当に。跡部さんはすごく満足気な顔してるけど。宍戸さんは何故かはらはらと泣いている。あ、宍戸さんだけじゃなかった。鳳も、向日さんもはらはら泣いてる。やっぱりデジャブ!もう帰ろうかな。八割以上の呆れ顔で扉にくるりと向かうと、誰かに肩を叩かれた。 「それでいいのかな?」 「財前、礼子さん…」 「思い出して、あなたの座右のめぶっ…座右の銘を…」 財前礼子さんだった。途中で目が合ったかと思ったら急に目をそらされたけどどういうことだろう。 俺の座右の銘は下剋上、そうだ、俺は跡部さんを越え―――、越えるためにこの動きは必要なのか?いや、考えたら負けだ。考えるんじゃない、感じるんだ日吉若。跡部さんには出来るのに、俺は出来ない、なんてことあってはならない。下剋上が夢のまた夢の話になってしまう。いや、でもあれは、あの動き…覚悟を決めろ、覚悟を決めるんだ日吉若! 「跡部さん!」 「あーん?なんだ日吉」 「俺にも、それを、教えてください!」 ハッ、と笑う跡部さん。上等だ、俺は、跡部さんより完璧にこの動きをマスターしてやるんだ。これで、いいんだよな、いいんだよな誰にも聞く気なんてないけど。跡部さんに聞いたところで「当然だ」の言葉が返ってくるに決まってるだろうし。 「…いいぜ日吉。よく見てろよ」 「はい」 こくり、と頷くと、バターン!とまた大きな音が響いた。あれ、さっきまでいたはずの財前礼子さんがいない。しかしそんなことを気にしている暇はなかった。目の前には真剣な眼差しの跡部さん。目をそらすことなんて出来ない。俺の脳内に、この瞬間を刻みつけ、そして果たす下剋上! 「…いいぜ、てめえが何でも思い通りにできるっていうなら、その幻想を―――」 「もうやだ…おなかいたい…ぶっ、氷帝学園…面白い…ふっは、」 「俺、なかなか迫真の演技やったやろ…どやった?」 「なんで、最後めがねって、めがね…あっははは!」 「MVPは俺で決まりのようやな」 「いや、しいて言うならめが…めがねじゃない?MVPめがね…ぶっふふ…それか日吉く…日吉くん、苦労するね、ぶっ」 「お前が言うんか」 「氷帝の未来は明るいなー!」 (10000hitフリリク/かんな様に捧げる!) |