財前礼子について考える。
財前礼子の良いところについて考える。
性格はお世辞にもいいとは言えない。違う意味でならイイ性格をしているが、猫を被っている状態ならともかく素の財前礼子の性格は「性悪」、この一言に尽きる。とにかく面白いことが好きな女だ。さらに面白いことがなければ自ら面白そうなことを起こす。その際周りに降り掛かる被害のことなど、財前礼子は露ほども考えない。
要するに自分本意な人間なのだ、財前礼子という女は。では何故そんな自分勝手で理不尽な女と自分は親しくしているのか、そこに思考を移す。
意外かもしれないが、財前礼子は友人に対しては多少の遠慮をすあの女は面白そうなもの、自分が玩具だと認識しているものに対しては常に全力投球だが、一部の友人や身内に対しては、その行動のえげつなさが多少身を潜める。あくまでも多少なうえに、財前礼子自身はそのことに気付いていないだろうと思う。

(まぁ、それに気付いたらのたうちまわりそうじゃのう)

どうやら自分は財前にとっての友人の範疇にあるらしく、柳生や幸村のような遊び方は今の所されていない。それどころかどのように遊ぶか相談を持ち掛けられることすらある。

(俺も、楽しければそれでええんじゃ)

いつでも飄々としている幸村やすまし顔の相棒が礼子に振り回されている様を見るのは思いのほか楽しいもので、気付けば積極的に礼子の悪戯に荷担するようになっていた。
しかし、それは決して万人が言うところの「良いところ」ではない。というかむしろ悪いところであろう。他人で遊ぶのが良いところです、なんて真田が聞いたら殴ってくる。
しかし財前礼子について考えれば考えるほど、良いところ、というのが思い浮かばなくて困る。フレンドリー?いやあの女のあれは単に馴れ馴れしいだけだ。ではどこが良いところなのか、そもそも自分は何故彼女と親しく話すようになった?

(…ああ、)

ふ、と思い浮かんだ答に納得する。そうだ、だから自分は彼女に興味を持って、そしてあの性格に驚いて、いつの間にか友人にまでなっていたのだ。

(良いところ、あったぜよ)

財前礼子。
彼女は、顔だけは良い。



(倉井様よりいただきました!)