財前編


「ネズmiiランドに行きたい」
「ええですよ」

大阪から東京なんて遠すぎるけど大丈夫?と聞く前に、財前くんに腕を掴まれて辿り着いた先は、夢の国なんかじゃなかった。

なんの変哲もない公園だった。

「ここ公園!」
「どんな公園も行けばネズmiiランドや」
「そんな訳ないじゃん!」
「とりあえずあの上から、滑ってください」

そう言って財前くんが指差したのは、これまたなんの変哲もない滑り台。まあ、確かに、こういう機会でもなければ、滑り台なんてめったに乗れるものじゃないし、と自分に言い訳をしながら童心に戻って滑ってみることにした。

右方向から水が飛んできた。

見ると、財前くんがホースで私に水をかけていた。ずぶぬれの私に向かって財前くんは笑った。

「スプラッシュ的なマウンテンのようなものの気分は味わえましたか」

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