「こたつ…恐ろしいヤローだぜ…」
「いや…そんな格好で言われても…」

体がすべてこたつに持って行かれ、顔だけ出ている状態の跡部。なんというか、ずるい。私だってこたつでぬくぬくしたい!気付いたときには、こたつに足を入れていた。

「あああ何してんねん!」
「ウワアアアこたつに取り込まれたー!」
「何アホなこと言うてんねん!」
「だって…こたつ…はあ……」

こたつは素晴らしい。足を入れて、顔を机につけるだけで天国を味わえる。

「アーン忍足、お前も入りたいなら素直に言えよ」
「入ったら最後、家に帰られへんわ!」
「忍足、欲望に忠実なほうが楽に生きれるよ!」

ぐぬぬ、と忍足はちょっと考えた様子だったけれどウワアアアと部室から走り去って行く。

しばらくすると日吉若を連れてきたけれど、結果は私と同じだった。

誰もこたつには敵うまいよ。ぬくぬく、ぼんやりしながらそんなことを思った。あーこたつ幸せ!

そうして一人、また一人とこたつむりは増えていき、最後の最後には忍足も折れた。そしていつまで経ってもコートに来ないみんなの様子を見に来た榊太郎(43)もこたつむりになったのだった。