08

水蓮は結局しつこい白澤に当初の予定通りお土産を渡し。
ついでに、白澤のお世話をしてくれている桃太郎に心から感謝を込め、自分用だったお土産のお菓子を渡した。


「また遊びに来てね〜」

「行かせません」

「お前にそんな権利はないよ〜ん」

「黙れ白豚」

「桃太郎さん、白澤さんをよろしくお願いします」

「はい」


桃太郎も水蓮もお互いをお互いに、大変な人だなぁ、と思った。
閻魔庁への帰り道もやっぱり二人で。
とくに会話もなく歩いていた。
衆合地獄の花街に差し掛かった頃。


「………水蓮ちゃん?」

「………あっ、お香ちゃん!!」


水蓮は、透き通るような凜とした声に振り向き、その瞳に声の主をとらえるとすぐさま駆け出した。


「やだ、いつの間に帰ってたのォ?」

「ついさっき〜」


お香にぎゅーっと抱きつく水蓮。
その背中をポンポンと優しく叩いてお香は嬉しそうに笑った。


「どこ行ってたのよ、今までェ」

「世界の獄卒体験ツアー」

「お仕事だったの?」

「プライベートだよ〜、趣味趣味」


ワーカホリックじゃない、とお香は楽しそうに笑った。
そうとも言う、と水蓮も楽しそうに笑った。


「これからこっちで働くのォ?」

「なんやかんやで、やっぱり補佐官になる羽目になった」

「羽目ってなんですか羽目って」


蚊帳の外にいたのに、話だけはきいていたのか、地獄耳なのか。
突然現れて、水蓮の頭を拳でグリグリとはさんだ。
それを見てお香は懐かしそうに笑った。
この光景は、彼らがまだ教え処にいた頃、よくみたものだった。


「お香ちゃん、笑ってないで止めてええ」

「私には無理よォ」




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