ハネウマらいだー | ナノ
  01


知り合いの家に行った。
ドアを開けて入ったら、階段から超絶美形外国人さんが落ちてきた。

「痛ててて…何か今日はよく転ぶなあ…」
「…えーっと」

どうしようか。
あまりの状況に立ち尽くしていると、慌てて階段を降りてくる足音が聞こえてきた。

「ディ、ディーノさん! 大丈夫ですか!?」
「あの……ツナ?」
「あ、なまえ!? …ちょ、ごめん。今、立て込んでて…」
「うん、見たら分かるよ…。じゃあ、また後で来るね」

軽く手を振って帰ろうとしたとき、玄関先に見慣れたスーツ姿の赤ん坊が立っていた。

「なまえ、ちゃおッス」
「こんにちは、リボーンくん」
「上がってけ。コーヒーくらい淹れるぞ」
「え、でも…」

チラリと外国人さんの方を見ると、起き上がって笑顔でこっちを見ていた。

「ツナの友達か?」
「えぇっと……はい、一応」
「一応って何!?」

ツナにつっこまれた。
美形さんは嬉しそうに頷いた。

「俺はツナの兄弟子で、ディーノだ。よろしくな」
「は、はあ…」

えっと、……これは何だろう。兄弟子ってどういうこと…? 私はどうすれば? 私も自己紹介したほうが良いのかな?

「コーヒー飲んでくんだろ? 上がれよ」
「えぇ? …あ、ありがとうございます?」

上がれよ、ってここ貴方の家じゃないでしょう。とは思ったけど、ツナは何も言わないから、私も言わないでおく。
ディーノさんはにこにことして、私の手を引いた。そして玄関マットで滑って転んだ。……え、嘘でしょ。すごいびっくりした。

「いててて…」
「だ、大丈夫ですか?」

声をかけると、ディーノさんは照れたように笑った。

「なまえ、そんな奴ほっとけ」

リボーンくんはそう言って、私の肩に飛び乗った。ディーノさんは早々に立ち上がり、何事も無かったかのように階段を上り始めた。

ツナの部屋、ニコニコと笑うディーノさん。早く帰りたい。もともと家に上がるつもりなんてなかったのに。
でも奈々さんが淹れてくれたコーヒーは美味しいから飲む。

「…で、なまえは何の用だったの?」
「あ、うん。えっと、これ…」

持っていた袋をツナに渡す。

「梨?」
「お母さんの実家から沢山送られてきたんだけど、食べ切れないからお裾分け」
「ありがとう」

ツナは笑って、「母さんに渡してくる」と言って階段を降りていった。入れ替わるようにフゥ太くんとランボくんとイーピンちゃんが入ってきた。

「ガハハハ! ランボさん登場だもんね!」
「あ! なまえ姉が来てる! 一緒に遊ぼー!」

イーピンちゃんは何言ってるかよく分からないけど楽しそうに私の服の裾を引っ張る。
フゥ太くんがディーノさんを見て不思議そうに首を傾げた。

「あれ? ディーノ兄? 帰ったんじゃなかったの?」
「え?」

ディーノさんはニコニコと笑ったままだ。

「急ぎの仕事があるって…」
「大丈夫だ。ロマーリオが何とかしてくれてるだろ」
「早く帰れへなちょこ」

リボーンくんはひどい。てゆーか、へなちょこって…?
ディーノさんは慌ててリボーンくんの言葉を遮った。

「バッ……リボーン! 何言ってんだ!」
「本当のことだろ。へなちょこ」
「へなちょこ…」

私が呟くと、より一層焦ったようにディーノさんが手を振って否定してきた。

「いや、違っ…! む、昔! 昔の話だよ! なあ、リボーン!?」
「さっきなまえもへなちょこが階段から落ちてくるところ見ただろ?」
「リボーン! あ、あれはたまたまだ!」

焦っているディーノさんを見て、リボーンくんは完全に楽しんでいる。1歳にして、だいぶ腹黒い子供だと思う。可愛いから良いけど。
そんなやり取りを見ていたら、何だか私まで笑えてきた。大体、へなちょこって…。

無言で肩を震わせる私を見て、フゥ太くんが心配そうに見つめてきた。

「なまえ姉?」
「へ、へなちょこ…」
「ちょ、マジかよ…!」

頭を抱えてしゃがみ込むその姿すら面白い。
しょんぼりとした肩に慰めるように手を置くと、ディーノさんが見上げてきた。

「元気出してください」
「……」
「へなちょこさん」
「!」

リボーンくんがニヒルに微笑んだ。失礼ながら、無言で沈むディーノさんの姿が可愛くて仕方ない。好きな子をイジメる小学生男子の気持ちが今更ながらに分かるような気がする。
1階から戻ってきたツナが困惑したように私とディーノさんを見比べていたけど、私は笑いすぎて何も説明できなかった。

面白い人だなぁ、ディーノさん。
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