Cloudy Blue
山本君の自殺騒ぎで、フェンスが補強された。それでも屋上は閉鎖されなかった。
「ありがとうございます」
「…何が?」
「屋上を封鎖しないでくれて」
「……別に君のためじゃない」
雲雀さんはぷいっとそっぽを向いた。
「僕の昼寝場所が減るからだよ」
いわゆるツンデレか。私はよく知らないのだけど。
補強されたフェンスは風が吹いても揺れなくなった。
……もう、間違って落ちることはできないなあ。
「曇り空は眩しくないですね」
「そうだね」
灰色に濁った雲。
それさえ、私にとっては大好きな空の一部だった。
「………死んだら、空に行けるのかなぁ」
「…知らないよ」
独り言として呟いた言葉に、返事があった。小さく笑ったら睨まれた。
空は広いから、きっと何人死んだって大丈夫だと思った。