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「今は授業中だよ」

聞き慣れた声に振り返る。相変わらず無愛想な雲雀さんがいた。

「こんにちは、雲雀さん」
「いい加減、真面目に授業受けたらどうなの」

睨まれた。でも怖くなかった。

「私が屋上に来なくなったら、雲雀さんが寂しくなりますよ」
「……うるさい」

否定されなかった。ふざけて言ってみただけなのに。

「…何ニヤニヤしてるの咬み殺すよ」
「ごめんなさい、雲雀さんが面白くて」
「……」

ムッと眉根を寄せる仕草すら、むしろ可愛らしく思えてきた。

「雲雀さん、」
「……何」
「好きです」
「……僕もだよ」

強い風が吹いて、雲雀さんの声が聞こえなかった。

「すみません、聞こえなかった。何ですか?」
「何でもないよ」
「気になります」
「僕は気にならない」

雲雀さんはそっぽを向いてしまった。
…楽しいなあ、と思った。

生きていたいと思うくらい、楽しい。久しぶりの感覚だった。


広い空に手を伸ばした。

伸ばした手は雲雀さんに掴まれた。

「また落ちるよ」
「……空は人を選ぶんだって、」
「……」
「私は、ダメだったみたいです」
「…まだ死ぬなってことでしょ」

空は広くて、閉鎖的だった。

この空の下のどこかで、また誰かは空に行けるのに。拒絶された私はまだ生きている。

「なまえ、」
「…大丈夫です。もう、落ちたりしませんから」

まだ。

雲雀さんが名前を呼んでくれるうちは、まだ。

広い空を眺めるだけで我慢しようと思った。



空は今日も綺麗だった。

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