後日、会議室にて反省



「それで、安々と逃げられた訳か」

 美好を引き連れオリーブに帰ってきた四人は、例の会議室に集まっていた。

 彼が新たに加わったことで『肆』の彫られた椅子に人が埋まり、全体的にも少し活気が戻ったようにも見える。

「まぁ今回の任務の目的は美好の捜索ということだったし、成功は成功といえよう。しかしラグナロクの手がかりを逃すとなればなぁ……」

 そう言いながら珀憂は、チラリと香野と美好の方を見やる。

「いやー、まさか僕もあそこで逃げられるとは思ってなかったからねぇ。香野も相性の悪い相手だったみたいだし、まぁ、しょうがなかったんじゃない?」

 あくまでも“いつも”のように軽く受け流す美好に、珀憂は更に眉間に皺を寄せた。

「ですが確かに、あの時私達がもう少し早くあの場に戻ってきていれば、もしかしたら良い解決策があったのかもしれませんしね……」

 雅の一言にもより、珀憂もそれもそうか、と渋々ながらに納得する。

「あぁ、それと美好……」

「ん、どした?」

「いや、その……」

 そこで彼は気まずそうに眼鏡を押し上げたが、やはり言いにくいのか少し視線をさ迷わせ、意を決したように話を切り出す。

「鈴梦氏のことだが……消火が完了した屋敷の中で発見されることは無かった」

「!それってまさか……」

「分からない。一人で無事に逃げ出したのかと思い付近の森の中を捜索させてみたが、どこにもいなかったらしい。現在は行方不明ということで何人かに探させているが……」

「……そう」

 そう聞かされた美好の顔にこれといった変化は無く、彼は諦めたように浅いため息を吐き出した。




  



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