ターラの町



「つ……着いたー!」

 戯宮と別れてから数刻。長旅を終えた三人は、ついにターラの町へ到着することが出来た。

 すっかり夜となってしまったが、それでも町は変わらず賑わっており、道には歩くにも十分な明かりが灯り続けている。

「にしても、腹減ったー……」

「まぁ長旅でしたし……捜索は明日にして、今日は宿に泊まるとしましょう」

「あぁ、雅の言う通りだ。それに、いつラグナロクとの戦闘になるか分からないからな……今のうちに休息をとるのも悪くないだろう」

 ――や、やっと眠れる……!

 珀憂は一人でなにやらウンウンと頷くと、やけに軽快な足取りで、あらかじめ予約を入れておいた宿へと歩き出した。

「……珀憂のやつ、なんであんな元気なんだ?」

「いえ……多分、どちらかと言えばすごく疲れてるんだと思いますよ……」

 ――あなたの世話で。

「そっかー。……おーい、待てよ、珀憂ー!」

「げっ、香野……!」

 香野は助走をつけて珀憂に飛び付くと、二人は揉み合いになりながらもどうにか目的の宿の中へと入っていく。

「やれやれ……これからどうなることやら」

 雅は仕方がないというようにフッと笑うと、そのまま二人に続いてそこへと向かった。




  



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