規約違反
「だとしても、別にお前でなくとも良かったんじゃあ……」
「えぇ、一時はそうも考えたのですが、どうせ造るならなるべく良いものをと思いまして」
「おい、さらっと頭良いアピールしてんじゃねぇよ」
真顔でそう言う雅に香野がつっこむが、一方の珀憂はやれ仕方が無いといったように溜め息をついた。
それに気が付いたのか、雅も咳払いをした後にズレてしまった話を元へと戻す。
「まぁこれが違法だということは私も重々承知していましたが、騎士団の皆にも後ほど公表するつもりではいますし、まだ私も実験……いや、調べたいことがありまして」
雅がチラリと戯宮を見やると、彼はギクリと体を硬直させ目を泳がせる。どうやら今の会話の中に何かNGワードが含まれていたようだ。
「それはそうと戯宮、今日はどうしてここに?」
話を一段落終えた雅が戯宮に向き直り、未だ固まったままの彼に語りかけた。
香野も目だけをこちらに向けると、思わず出そうになった欠伸をかみ殺して椅子に座り直す。
「……あ、あぁそのことですがねぇ、今日は皆さんに一つ忠告をしに来ました」
話を振られた戯宮は驚いた顔で一瞬ビクッとしたものの、次の瞬間にはあの薄ら笑いに戻っていた。
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