会議は早急に
「今日みんなに集まってもらったのは他でもない。既に聞いているとは思うが、先日東のターラの町の周辺にて、“吸血鬼”の目撃情報が寄せられた」
珀憂が持ってきた資料を二人に配る。
そこには遠目から撮影されたのであろう金色の人形をした影や、実際か捏造かの判断がどっちつかずのままの被害報告やらが事細かに書き記されていた。
「えぇ、私も気になって個人で調べてみたのですが、どうやら実際に目撃証言が何件もあるようで、真実味はあるようですね」
雅も自らが調べた資料を取り出す。
彼もここ数日かで少なからずも噂について調査をしてくれていたためか、珀憂の持ってきたものと合わせるとそれはかなり信憑性のある噂だということが見て受けられる。
黙って二人が資料に目を通していると、横から香野が口を挟んできた。
「やっぱりこれって、俺らの身内的なあれだよなぁ……」
「あぁ。恐らくは……四番隊隊長『ヴァンパイア』。転生してからの行方が分からないままだったが……もしかしたら何らかの理由があってそこにいるのかもしれない」
珀憂はそう言って眼鏡を少しだけ押し上げた。
――しかし……
「なぁ、ということはあれだろ。今回の任務って、奴の捜索ということだよな?どうして俺達だけなんだ?」
香野の言う通り、今回の任務は香野、雅、珀憂の三人のみで行われることとなっている。
もちろんそんな小さな町で大人数で行動するのは逆に動きづらいとの判断もあったが、珀憂にはもう一つ明確な理由があった。
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