檠與が去ってから間もなく、柄にもなく少しボーッとしていた暮哭だったが、彼女はハッと何かに気が付くと戯宮の元へと走り出した。
「ちょっと大丈夫?アンタ怪我してるじゃないの」
「……あぁ、君が暮哭くんですか……。心配しなくても大丈夫ですよぉ。こんな傷、雅くんの実験に比べたら……」
そこで彼はトラウマでも思い出したかのように顔を青くすると、フラフラとオリーブの中へと歩き出した。
だが、途中で力が抜けたのか前のめりに倒れかけ、前からやって来た美好に受け止められる。
「本当に大丈夫かい?僕も一緒に着いていくよ」
「えぇ、すみません。本当に傷の方は大丈夫なんですよ……」
「ただ……少し頭が痛むんです」