『あ、焔華だー!おっはよー!』
廊下を歩いていた焔華と杞微は、突然どこからか聞こえてきた少女の声に思わず足を止めた。
しかし辺りには二人以外に人影は見えず、代わりに一羽の蜂鳥がチチッと鳴き声を上げながら焔華の肩に停まる。
「ちょっと茉淦(マアカ)ー、勝手に姉さんの肩に停まらないでよー」
慣れたように文句を言う杞微に、茉淦と呼ばれた蜂鳥が抗議の“声”を上げる。
『なにようるさいわねー、ちょっと黙ってなさいよこのシスコン!……いや、今はブラコンって言うべきだったかしら?』
「なんだとー!」
空中へ飛び立つ蜂鳥相手に、杞微が後ろを追いかけ回す。
そしてそれを見た焔華は欠伸をしながら暢気に一言。
「ほんっと、朝から元気よねぇ……」