幸陽君、ゆきはるくん

こっちにおいでよ





男に求められるまま体を差し出した。
自分の心臓が耳元にあるみたいだ、ドクンドクンと脈打っている音がすごく大きく聞こえる。


さすがにこの歳で童貞なわけわないけれど、過去に事に至った事があるのは女性だけ。
それもまぁ一人だけだけど。

…つまり男を相手したことは一回もない。

付き合ったりしてみてはすぐふられる。
相手には自分が重いのか…


「はぁっぅ」


耳をあまがみされ、そのまま中を男の熱い舌でなめまわされた。
その間も男の手は幸陽の体を撫でまわす。

十八の子供なのにずいぶんと慣れている。
きっと幸陽よりも経験をつんでいるんだと思う。


されるがままに服を脱がされた。
下着姿になった幸陽は恥ずかしさと不安にはさまれ、今にも泣きそうな顔をしている。


男の目には自分の姿が滑稽にうつっているんだろうな、男の自分が女装なんてして…下着まで女物だなんて。

そう思うとなんだかすごく辛くて、辛くて…幸陽は顔を両手で隠していた。
みっともないけど涙も溢れてきて止まらない。


「なんで泣いてるの?」


男の優しい声にもっと泣いていた。
大きな掌が幸陽の手の上に重なり、ゆっくりと顔を隠していた両手を退けられる。

泣いてほんのりと赤く染まった頬、伏せられ涙に濡れた睫毛、目尻に溜まった涙。
全部が綺麗で、男は一瞬止まった。


「大丈夫、大丈夫だから」
「…僕はっ…男だ、…女の子のかっこしていても胸もないし…」


閉じられた瞳から次々に涙が流れだし、頬を濡らした。


男はそれ以上なにも言わなかった。
その代わりに男の掌は幸陽の頭をゆっくり撫でて、そのまま伏せられた瞼に何回もの接吻をおとした。

掬い上げるように舐めとられた涙。

キツく抱きしめられた体は少し痛かったけれど、どこか心地よさも感じた。
今日あったばかりの名前もしらない子供なのに。
















人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -