週に一度の休日。
僕には一番楽しみにしていることがある。
それは日曜日の夜、始める。

クローゼットから女性ものの下着、服をとりだしそれをゆっくりと身にまとっていく。
淡いピンク色の下着、薄いブルーのブラウス、ヒラヒラのスカート
男の自分に胸があるわけはなく、女性もののブラジャーと自身の胸の間は隙間がポッカリと相手いてこれじゃあ不自然だ。
その空いた隙間にはパットを二枚挟むとちょうどよくフィットする。
黒髪を肩までのびた髪の毛を顔を隠すように前に流して、準備は終わり。


ベッドの方を向くように部屋の壁に立て掛けてある全身をうつす鏡。その前に立つ瞬間が何とも言えない…ゾクリとする。
鏡にうつった自分は男なのに女ものの服を来ていて、まるで女みたいだ。

「ッ…クス、ゾクゾクする」

小さい頃から不自然なくらい色が白くて女みたいと馬鹿にされ続けていたら、いつの間にかこんな性癖ができた。
ただ女装がしたいだけで女性になりたいわけではない。けれど付き合う相手は同性でそれも抱きたいんじゃなく、抱かれたい方で。

今日もこの格好でいつもの所にいく。夜のバーカウンター、そこには女装でしか行ったことがない。
ただお酒を少し飲むだけで誰かに話しかけるとか何かをするわけじゃない。細やかな自分だけがわかる楽しみで。

人がいるなかでこんな女装した自分が紛れ込んでいるなんて…考えただけでも鳥肌がたつ。

少しだけヒールが高い靴をはいて、カバンを肩にかけ家を出る。僕の楽しみは家をでた瞬間から始まる。

人とすれちがった時自分が男だとばれるんじゃないかとドキドキする。
僕が男だと知った時、周りはどんな反応をするのか…。気持ち悪いと罵られるのか、好奇の目で見られるのか、いずれにせよ楽しみでしかたない。

都心から少し外れた所にヒッソリとたたずむバーカウンターのお店。ごくごく普通のお店。
そこのマスターにも自分は女だと思われている。本名は三浦幸陽(ミウラユキハル)、女の自分は「幸(ユキ)」と名乗っている。みんな幸陽を幸という女だと思っていて誰も疑ってはいない。
夜のカウンターは薄暗く、所々にある間接照明だけでは幸陽の顔はよく見えない。
体格はなんとか服装などでごまかせるくらいの体格で、顔も中性的。
女の格好をしている、というだけで幸陽は完璧に女性となっている。

店のドアをあけるとカランカランとベルの音がなり、そのあとすぐにマスターの声が聞こえた。
いつも通り。そう、ここまではいつも通りだった。

「…あ……」

カウンターは席が4つしかなく、いつも幸陽が座る席は入り口からむかって一番奥。今日はそこに若い男が座っていた。
幸陽は一瞬戸惑ったが表情や態度に出さずその席から1つ離れた所に腰をかけた。







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