mochi様より★後日談『峰さんの説教部屋』(SS)

mochi様より★後日談『峰さんの説教部屋』(SS)

「峰さぁん、俺まじどうやって生きてけば良いんすかっ」


「とりあえず、お前は手がかからない奴だって思ってたんだけどな」


呑みに誘われたのは二時間前、珍しくマルから誘われたと思えば、これだ。
いつもより落ち込んでいるのは分かったが、酒が入ってからのこいつは凄かった。
口を開けばデュオ、デュオ、デュオ。
喧嘩をしたのか知らないが、愚痴を吐く相手に私を選ばないで欲しい。
最近の奴等は私を愚痴聞き爺とでも思っているのか、
先週はフラン、今週はラッキーにこいつだ。
しかもどれも口を開けば愛だの恋だの、いい加減にこっちも疲れる。
聞いてますかー、と肩にへばりついて来るマルを振り払って、日本酒を舐めた。
この話も、本日五回目。

「後悔する位なら言わなければ良かったものを、」

「だってー、あれ見てたらいい加減口だしたくなりますよー。ああでも言わないと、アイツは絶対に自覚しないし、考えようともしないんすからっ。
マジで、なんなのアイツら!早くくっついてしまえー!」

ワァっと机に突っ伏して喚くマルの頭をとりあえず叩いておいた。

「デュオに嫌われたら俺どうしたら良いんすかー!峰さん慰めて下さいよー」

見上げてくるマルは若干涙目で、厄介な奴に捕まってしまったと何度目か分からないため息を吐く。普段が手がかからない奴な程、面倒臭く感じる。

「阿呆、自分が蒔いた種だ、私に言うな。それに、私が慰めてお前は嬉しいのか?一時の感情で軽率なことは言わん方が良いぞ、と言っても酔っ払いに言っても仕方ないが」

「うぅ゛…、」

少しキツく言ってやると、マルはぐっと口をつぐんでしまった。そして少ししてか細い声でスミマセン、と呟く。

「酒も恋も、大概にしろ。お前がどうこうしようが、なるようにしかならん。それと、」

「はい?」

「無理して他人の面倒を見ようとするな、自分で自分を追い詰めてどうするんだ。」

きっとこの男はこうやって自分の感情を押し殺して生きていくのだろう。
それは個人の自由だ、私がとやかく言うものではない、
だが、それは些か憐れではないか。
マルは怪訝そうに眉を潜めて、じっと私を見た。視線を外して湯呑みの酒を飲み干す。


「………峰さん、良い男過ぎっすよ」

そうか、と返すと「チューして良いっすか」と抱き着いてきたマルを殴ってやった。そして、そのまま潰れてしまった。


結局、人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られるのだ。



とりあえず此にて閉幕、






















【恭而】頂き物なのにもはや連載と化していた、ラキ×デュオ+マルの続編小噺を頂きました!
前回不在だったマル、実はデュオの心中とは裏腹に後悔に苛まれついには峰のもとに泣き付いたようですw
そしてマル、酒を飲むと普段とは逆転、絡み上戸な上口調がラッキー化するという、峰が完全に被害者ですよこれ(笑)
しかし的確で視野の広い峰の物言いに、読んでいるこちらまで何か救われた気分になってしまいました。
相変わらずmochi様のキャラ考察力には頭が下がります。

素敵なSSありがとうございました!!




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