小さい頃からオッドアイのせいでよくからかわれていた。
元々内気な性格だったし、友達を作るのも苦手だったから、俺はいっつも独りぼっち。
大きくなるにつれて、コンプレックスだったオッドアイを隠すように派手な格好をするようになった。そうすれば少しは目立たなくなると思って、
『その瞳、カッコいいな』
マルは始めてこの目を褒めてくれた奴だった、
俺の目を覗き込んで、笑ってくれた。いつも独りぼっちだった隣には、マルが当たり前のように居るようになったのはいつからだろう。
俺の世界の中心は、マルだった。
『いい加減にハッキリしたら』
三日前に突然親友から言われた言葉。
なにが、と聞いたけど自分で考えろと突き返された。
あんな冷たい態度のアイツは初めてで、俺は知らないうちにマルを怒らせてしまったのだろうか。
今までケンカをしたことが無かった訳じゃない、だけど今思い出してみたら全部俺が一方的に怒っているパターンばかり。
アイツはいつだって自分勝手な俺を笑って許してくれてた。
アイツに拒絶されるのが怖くて、冷たい目で見られるのが恐ろしくて、 あれからマルには会ってない。
マルがあんなことを言った訳が解らない訳じゃなかった、きっとラッキーの事を言ってるんだと思う。
ラッキーに会った日はいつもイライラして、マルもいい加減呆れてしまったに違いない。
そうだ、アイツが悪いんだ。
会えばいっつもからかわれるし、せっかくセットした髪もぐしゃぐしゃにされる。
なんで俺だけ?確かにいちいち相手にする自分も悪いけど、
『あんなヤツ、キライだ』
『誰がキライだって?』
『っ、?!』
『あれ、マルと一緒じゃないなんて珍しいね』
ニヤニヤと人を小バカにした様な顔をしたラッキーが、いつの間にか隣にいた。
『近寄るな、関係ないだろっ!』
『おーこわ。なに、喧嘩でもしたの?マルと』
ふざけて降参のポーズをするラッキー。
なんでよりにもよって自分が今触れられたくない所を突くんだろう、この男は。
整った顔面を殴り倒したい衝動に襲われるが、必死で耐える。怒りとか悔しさが体の中で、ぐるぐるとぐろを巻く。
お前が原因でこんな状態になってるのに、やっと独りぼっちじゃなくなったのに、お前のせいで、お前のせいで、俺はまた独りになってしまう。
なんで、俺の居場所を奪おうとする?俺に構わなければ、こんなことにはならなかったのに。
…違う、全部言い訳だ。
結局今までマルに甘えて好き勝手してきた俺が悪いんだ。
それをただラッキーに責任転嫁してるだけ、
悪いのは自分、解ってる、けど
『あれ、図星?』
そんなに俺とマルが喧嘩したのが面白いのか、にこにこしながら俺の肩を抱き寄せてバシバシと叩かれた。
『触んなよ!つーか離れろっ』
『なんで喧嘩したのー?』
『お前には関係ないっ』
『マルに、嫌われちゃった?』
『な、っ…』
いくら気に食わなくても、これだけは言ってはいけないと思ってた。だってそれはただの八つ当たりで、
口が勝手に動いた。
『っ、おまえ、何なんだよ!構うなよっ!俺はっ、お前のせいでこんな目にあってんのに!
俺が気に入らないなら無視すれば良いだろ、なんで、かまうんだよ…
お前には、お前の周りにはいっぱい人がいるけど、俺にはっマルしか居ないんだよ!マルが居なかったら、俺は
マルに嫌われたら、俺は、どうしたら…』
声を張り上げて、感情のまま叫んでしまった。心の内に隠していた物が言葉となってラッキーを攻撃する。
最低だ、言ってしまってから項垂れた。本当はこんなこと言いたかった訳じゃないのに、ジワリと目頭が熱くなる。
ラッキーの反応が恐ろしくて、顔を上げられない。
呆れて早く去ってくれるのを待っていたが、ヤツは一向にそこから動かない。
『…ムカつく』
ボソリと呟かれた言葉。それと共に肩を掴まれて壁に押し付けられた。ダァン、と鈍い音と共に叩き付けられた背中がジンジンと痛む。
驚いて目線を上げると、あのいつもヘラヘラしてるラッキーが見たことがない位怒っていた。
『マル、マル、マルってそんなアイツが大事なの?』
『っ当たり前だろ!あいつは俺の大事な親友で、お前なんかにはわかんねーよ!』
『…止めたら?そういうの、マルも重いんじゃないの』
眉間にシワを寄せて、声を低くしたラッキーが知らない人物のようで、恐ろしかった。
逃げたいのに肩は押さえ付けられたまま、身動きができない。背中に冷や汗が流れる、
『だ、だから、お前には関係な』
反論しようと口を開くと、手で覆われてしまう。一体何がしたいんだ、こいつ。
『さっきからお前お前って、一応俺年上だよ?それに、マルのことは名前で呼ぶくせに、俺のことは『お前』って、すっげームカつくんだけどさぁ』
顔が近づく、メガネの奥の瞳が笑っていない。
『お、おまえ、今日ヘンだよ、八つ当たりしたのは謝るから…』
『またお前って言った。…あーマルが言ってた意味が分かった』
『はぁ?!意味わかんねーよ』
『デュオには分かんなくていーよ』
鼻が触れる位に奴の整った顔が近付いてくる、脚が震えて、逃げられない。
ヤバイ、このままじゃ
『あ!二人ともなにしてんだー?』
『っ!?離れろっ』
タイミングよくアメがやってきて、気がそれた隙にラッキーを突き飛ばす。
チッ、と舌打ちが聞こえた。
『マルに伝えといて、『お前には負けないから』って。まぁ、仲直りしたらの話だけど』
『っ、だから何なんだよそれ』
キッと睨み付けると、いつもの調子に戻ったラッキーが馬鹿にしたように笑って俺の頭を撫でた。
『ひみつ』
何がひみつなんだ、と背中にへばり付いてきたアメの言葉なんか耳に入ってこないくらい心臓が煩かった。
◆◆◆◆◆◆
【恭而】
なんと、前回頂いたラキ×デュオの続編を頂いてしまいました!!!
マルは、ラキへ追い討ちをかけた後、これまたハッキリしないデュオに対し
普段見せないキツい面を見せてしまったんですね、
しかし彼もまたデュオの為を思っての、一種の愛情表現だと思うんですよねこれw
というかデュオの過去設定!
これものすごく気に入ってしまったので公式にしました(爆)
派手髪POP服なのに無口内向的って違和感ありますが、この内容、
実にしっくりくる、、、mochi様の妄想力に感服!
本当にありがとうございましたw
次回も期待しtぎゃあぁあやめてごめんごめんっ
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