mochi様より★ラキ×デュオ+マルSS@

mochi様より★ラキ×デュオ+マルSS@
「あ゛ぁあ、!なんなの?バカなの?アホなの?マジで死ねば良いのにぃいい!」


(とりあえず公共の場でいきなり発狂するのは止めようか、うん。みんな見てるからねデュオ。)


よく晴れた昼下がり、テラスのあるカフェでの優雅なティータイム。食べかけのチョコケーキにグサグサと怒りのままにフォークを突き立てた結果、見事に無惨な姿になってしまったケーキ。そして発狂するデュオ、
俺はカフェオレを飲みながら項垂れるデュオにため息を吐いた。
どうせまたラッキーさんにでもからかわれたんだろう。毎回毎回お互い飽きもせずよくやるもんだ。


「オレは悪くない、ワルくないわるくない……」

「今度は何があったんだ?」

「…………………う゛ぐっ」

フォークをくわえたまま固まってしまった親友を横目で見ながら再びため息を吐く。

普段はあまり喋らないし、感情の起伏がない彼がここまで素直に感情を出せるのは珍しくて、若干複雑だ。
だけどそれは内向的な彼にとっては良い変化だと思う、…うん、たぶん。だから俺は親友の恋を応援するのだけど、これが中々うまくいかない。
俺はラッキーさんとデュオがくっついたら良いなって思ってるけど、親友が傷付くのは見過ごせない。
相手はあのラッキーさんだ、実際デュオのことをどう思ってるのか俺には分からない。
もし冗談半分でデュオを振り回してポイ捨てされたら、ああ見えて中身は繊細な親友のことだから一生立ち直れないかも。




「別になんもない、………オレ、トイレ行ってくる」


(その態度は明らかに何かあっただろ、)

席を立ったデュオを見送って、さっき本屋で買った雑誌を広げていると後ろから肩を叩かれた。振り返ると噂をすればなんとやら、


「マルじゃん、奇遇だね」

「あっ、ラッキーさん。こんにちは」

ラッキーさんは俺を一瞥して辺りをキョロキョロする。
そうやってデュオを探すくらいなら少し位素直になれば良いのに、

「デュオならトイレっすよ」

「別に聞いてないけどー?」

「…そうッスか」

親切に教えたら、口調はユルいがラッキーさんは明らかに不機嫌になった。俺に内心を読まれたのが気に食わなかったらしい。


「ラッキーさん、あんまデュオをイジメないでやって下さい。あいつ、ああ見えて繊細なんっすから」

「俺なんもしてないけどねー、デュオたんが突っかかってくるんだよ?」

「でもデュオ今日も怒ってましたよ」


そう言うとラッキーさんは考える素振りを見せてあぁ、と思い出した様に呟いた。


「昨日さ、女の子と一緒に歩いてる時にデュオに会ったんだよ。したらいきなり『死ね』って言われるし。でも俺はなんもしてないのにさー、意味分かんなくないー?」


彼がワザとらしくため息を吐いて肩をすぼめたのと同時に、自分の内でブチン、と何かが切れる音が聞こえた。
いつもの冷静さは何処へやら、自分が発した声は思いの外低い物だった。



「意味わからないって、本気で言ってンすか?
ラッキーさん、…あんた、デュオのことどう思ってンすか」

言葉にしながら、じわじわと腹の奥から言い様のない怒りやら呆れやら、様々な感情が噴き出してきた。
あぁ、これじゃあ振り回される親友が惨めで可哀想だ、
顔をしかめてじっと耐えるデュオの姿が目に浮かんで、心臓がキリキリと音を立てた。
じゃあ、と俺は言葉を続ける。

「あんたがそんなつもりなら、デュオなんか要らないッスよね?」

「なんのこと?てか、なんでいきなりキレてんのーマル」

ぎろり、と嫌悪感を含ませた目で睨み付けると、ラッキーさんは余裕げに鼻で笑い一蹴した。だけどメガネの奥の目は笑ってなくて、つり上げた口の端が密かに強ばっている。
明らかに解っているのにも関わらず、まだしらばっくれるつもりらしい。
そっちがその気ならと、俺も容赦なく攻めかける。


「ずっと一緒に居て信頼されてる俺と、目の敵にされてるラッキーさん、
この状態でデュオがどっちを選ぶかなんて、あんたでもわかるっすよね?」

もちろん答えは俺だ、今の時点でデュオが選ぶのは親友の俺。それを知っているラッキーさんは苦々しそうに舌打ちした。

今まではさりげなく二人のフォローをしていたけど、もうやってらんない。
アホでバカでどうしょうもなく素直じゃない二人が、お互いを意識させるには生温い事をしてても無駄なのだ。
俺は今まで無駄なことをしていたと虚しくなった。時には非情な強引さも必要なのだ、特にこの二人相手には。



「俺、もうラッキーさんに遠慮しないっすから」

「っ、別に俺はデュオの事なんか…ってか、なに、マルはアイツの事好きなわけ?親友じゃなかったの?」

「さぁ、どうっすかね?でも、そんなのラッキーさんには関係ないっすよね。だってデュオのこと何とも思ってないんだから」


ワザとらしく挑戦的に言うと、ラッキーさんの顔には明らかに動揺と焦りが浮かぶ。
困ればいい、悩めばいい、嫉妬すればいい、
そうやって貴方の内でデュオがどんな位置に居るのかを自覚すれば良いんだ。



「おれ、ラッキーさんに負ける気なんかないッスから。覚悟してくださいね」


精一杯の虚勢と敵対心を張って、俺はラッキーさんに宣戦布告した。







本当は今まで一番一緒にいた親友を取られるのは嫌だった。
俺の隣にはデュオがいたし、デュオの隣にはいつも俺がいた。それが当たり前で、ずっとそれは変わらないと思っていたのに、
あの引っ込み思案で、頑固で、傷付きやすくて人と関わることが苦手なデュオの狭い世界が広がったのだ。
相手がどんなチャラ男でも愉快犯でも、デュオが好きになった相手なのだから。

こうなったら、馬に蹴られようとも散々引っ掻き回して、俺を本気にさせたことを後悔させてやろう。


( だから早くくっついてくれ、! )











◆◆◆◆◆◆
【恭而】
ダメもとでつぶやくようにお願いしたらこんなに素敵な作品を頂いてしまった!!
マルの熱い友情パワーにラッキーが押されている!
そして荒ぶるデュオ、デュオもマルも純心ですからね、ひねくれたラッキーも2人で力を合わせれば
やっつけられる←
メインの2人ではなく、マルにスポットライトを当てていただけたのが新鮮でとても引き込まれました!
ありがとうございます!



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