9月某日、晴れ




食堂で早めの夕飯を終えたら、各々の天球儀と調達したおやつを持って天文台に集まる。
夏休みの課題だった、提出する天球儀が点呼代わりである。

「うっわスガの天球儀なんか綺麗!」
「結構時間掛けたからな! そーいうエリンギは突貫工事だな〜」
「あはは……わかる?」
「真面目にやりゃあもっと綺麗に作れるだろーに、勿体ないの」

苦笑すればへらっと笑って誤魔化された。
が、とりあえず担当教諭にそれを提出して、適当に場所をとって座る。
出来の良さで点数はもちろん変わるけど、とりあえず作って提出した、という事実が必要なのだし。

天文台での天体観測と言うとなんだかお堅そうだけども、実際は全然そんなことは無い。
服装も楽なもので良いってことでTシャツやパーカーなんかにスウェットやジーンズだったりが殆どだし、食事は決まったスペースで好きな時に適宜取ればよくて、眠くなったら仮眠は雑魚寝、最終的にきちんと中身のあるレポートさえ提出すれば好きに観測していればいいという半引きこもり合宿だ。

……まあ、だからと言って男女入り混じる中でキャミソールにプルオーバーのサマーニットでホットパンツなんて姿はどうかと思うけども。

「エリンギ、もう一枚なんかなくて大丈夫なの?」

やんわりと遠回しにその格好どうなの、と伝えては見たものの。

「マグルの万全の空調整備の中では厚手のカーディガンも辞さないけど魔法界の夏はこのくらいでいい」

と、やたらキリッとした顔で言われたので多分伝わってないし、格好も改善されない。
多感なお年頃なので、他の男子達からの視線が刺さっている気がする。女子達とも仲が良いのだからせめてそっちに行ってくれればと思うけど、今更そうされると他の男子達から絡まれそうだからやっぱもうこのまま一緒に作業しよう。

まあ、おとなしく真面目に空を見るかと羊皮紙を広げて早速望遠鏡を覗き込んだ。





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