9月某日、快晴




「スガ〜、ごめんお待たせ!」
「おう。んじゃ行くかあ」

烏野商店街は、やはり同じことを考えているらしい天文学受講生達があちこちにいて、まだ夏休み期間中とは思えない賑わいだった。
ただそれでも、やはり普段よりは全然少ないので、ぷらぷらと歩きやすい。

「先にさあ、坂ノ下行って店ん中でちょっとなんか食わね?」
「あ、いいねえそれ。おやつ食べる〜」

何食べようか、なんて言いながらガラリと引き戸を開けると、中のカウンターには新聞を広げてタバコを吸う、よく見知ったクイディッチ教官。

「おう、菅原にエリンギか。天文学組か?」
「そうです〜。おやつ食べにと買いに来ました!」
「なんか冷たいのとかありますか〜?」
「あー……待ってろ、売りモンじゃねえけど、確か奥で母ちゃんがスイカ切ってたような気がする」

広げていた新聞をばさばさとてきとうにたたみながら、咥えていたタバコを灰皿に押し付けて奥へと入って行く。
やった、とお互い顔を見合わせて店の隅にあるクロスのかかったテーブルの、丸椅子を引き出して座った。

「すいかかあ〜そういや今年食べなかった」
「俺も食ってなかったなあ。俺が俺が帰る前に買っちゃって、帰る前に無くなっちゃったって。傷ませるわけにはいかないからさ〜」
「うわあそれは切ない……」
「ちょっと不完全燃焼だったけど俺もうこれで今年の夏は悔いないな!」

ニカッと笑った菅原にエリンギもけたけた笑う。
そこに、お盆の上に乗せた二切れのスイカを持った烏養が現れて、にまにま笑っている二人に首をかしげた。

「なにニヤニヤしてんだお前ら」
「なんでもないでーす! スイカ美味しそう!」
「塩いるか?」
「俺はいいです。エリンギは?」
「私もそのままでー」
「おう」

しゃくっと真っ赤で瑞々しいスイカに食いつけば、甘みが口の中に広がる。
んん〜っと二人揃って声を上げて、また声を揃えて笑うのだった。





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