× × × × ×
 


第一に、きちんと自分をアピールすること。
第二に、出しゃばりすぎないこと。
第三に、しっかり相手の表情を読み取ること!

……なん、だけど。

(全っ然、読めないわ……二口堅治……)

例えば笑いかければ笑い返してくれるし、少しぶりっこぶってみたら向こうも同じ様に返してくる。

ニコニコと人当たりがよくコミュニケーション力が豊かで、クラスだけじゃない、多分男女を問わない学年の人気者。
お調子者で友人の青根にツッコミ入れられたり、真面目だったり。

だいたいそんなところだとは思うのだけど。

性根が読めない。底が見えない。
全く、思ったよりも厄介な相手だ。

しかしまあ、その位で居てくれなくちゃ張り合いがない。すぐに底の知れるような相手じゃあ、中身の伴ったイケメンとは言い切れないし。

「……二口くん、よくグミ食べてるけど、好きなの?」
「ん〜、まあな。酸っぱいのが好きなんだよ」
「あ、じゃあレモンのやつとか、食べる?」
「お、なに、杜若も好きなの?」
「うん好き。クセになっちゃうよね」

ポーチから出したグミの袋の口を開けて、差し出された二口の大きな手にころころと転がした。

二週間かそこらで、私達は実によく喋った。

好きなものの話、授業や課題の話、家族の話。
正直取り留めもない事ばかりだったが、それがよいのだとばかりに他愛の無いことも話を広げた。

けれど。

「杜若〜」
「はーい? なにー?」
「三年の先輩が呼んでたぜ」
「三年生が? ……うん、ありがとう」

どうせ告白がなにかだなとありありとわかる表情で呼んでくれた男子に答えながら、ちらりと二口の横顔を見る。

流石に、二週間やそこらではなんとも思ってくれようも無いか、と小さく息を吐いて教室を出た。


 
...曲者強者、そうこなくっちゃ 

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