幽霊バスケ

 


多分夏休み入る少し前のことだ。
たまたまコーチと話していたらそれが長引いて、体育館に置いていたノートを取りに戻った時。

ふと、他のマネージャーが言っていた事を思い出した。

誰も居ない体育館から、ボールのドリブル音、バッシュのスキール音がする。
中を確かめてみるけれど、やっぱり誰も居ない。
けれど、そこにはつい今の今まで使っていたかのようなボールが転がっていた……。

ガラッ、べいんっ。
てん、てん、てん。

「……うん、やっぱり。黒子じゃん」
「あれ……烏丸さん?」
「忘れ物だよー。ってか、こんな遅くまで残ってんの? そろそろ閉められちゃうよ」
「ああ、しまった、もうそんな時間でしたか……。こないだもモップかけてたら電気消されちゃって」
「おいおい……汗拭いてさ、着替えておいでよ。私がモップしといたげる」
「えっいや、それは」
「はいはい行った行った。更衣室まで閉められるよ!」

噂の幽霊はやっぱり黒子だった。しかもなんか変な武勇伝(?)付き。
帰り道、コンビニに寄ってアイスにかじりつき、ぷらぷらと歩きながら。

「黒子さあ、自主練一人?」
「はい、いつも」
「じゃーさ、私がたまに付き合ってあげよっか」
「え」
「私、バスケ見るのもやるのも好きだし。相手居た方がイメージわくかなあって」

そろそろ黒子は私の性格がわかってきたらしい。相手が遠慮しているだけなら、言い出したら聞かないことを。
それじゃあ時々、お願いします、と律儀にも小さくぺこりと頭を下げた。
めっちゃ小動物みたいだった。


 
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