それはよく言われます。

 


翌日から、自分の目の前を目を凝らしてみてみると、成る程確かに、黒子は目の前に居た。
なれればなんのことはなく、意識すれば確かに見つけられた。
いつもこんな近くに居たのかあ全然気付かなかった、とぼんやり思いながら黒子のメモを取る。

しかし、なにもかもびっくりするほど平均以下だ。
平均以上なのは、それでも努力を怠ろうとしないところだろうか。

とは言え、まあ勿論、誰にも限界というものがあるわけで。

「っげほ、ゔ、げほっ」
「おーしおしおし、大丈夫かー。なんなら全部出しちまえよー」
「ずびばぜん゙……」

最近は気温も上がりつつあるので、黒子のバテる回数もなかなか跳ね上がりつつある。
その分、(他のマネジはやりたがらないので)私が黒子の面倒を見る回数も増えつつある。

「はい黒子。吐いたあとはしっかり飲んで。あ、口濯いでから」
「はっ……は、はぁ、はい……。……あの、ぼくの事、は、ほっていてくれても、大丈夫ですよ……?」
「え? なんで? 私うざかった?」
「いっ、いえ、違います」

そうじゃなくて、と私が押し付けたスポドリをごくんと一口飲んでから。

「その、他の人に……まして女の子に吐いた物を始末させるのも忍びないですし、烏丸さんも気持ちのいいものではないでしょう?」
「はあ、そりゃそうでしょうよ。私そんな他人のゲ……吐瀉物見て興奮するような性癖持ってないもん」
「……きみ他に言い方無かったんですか」
「うん、ごめん」

それは私も思った。言った後に。

「でもね、私、マネージャーだから。こういうのってやりたいとかやりたくないじゃなくて、やるかやらないかでしょ」
「は」
「ほっといて欲しかったら吐かないようになることだね!」

落ち着いたら後半頑張れよ、と背中を叩いたら、きみほんと変わってますね、なんて黒子が笑った。


 
[ 5/20 ]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -