そうだ、マネジやろう。

 


両親が集めたパンフの中で、家から一番近かった。私が帝光中を受験、進学したのはその程度の理由で。
帝光中の男子バスケ部は、数ある部活の中でも一番輝かしく好成績を残し、またそれが有名だった。私が男子バスケ部のマネージャーとして入部届を出したのも、所詮その程度の理由だ。

体を動かすのは好きだった。昔から。我ながら運動能力はいい方だと思う。ならばなぜ女子部に入部しなかったのかと言えば、それはまあ趣味の欲求を満たすために他ならない。

「あれ? お前女子なのになんでこっちきてんの? 女子部の体育館向こうじゃね?」
「ん? ああ、私、マネージャー志望だから」
「さつきと一緒か」
「さつき?」
「幼馴染み」
「へえ……」
「お前、バスケ好きなの?」
「そりゃね! じゃなきゃマネージャー志望しないし」
「じゃお前いいやつだな! 俺の持論的に!」

地黒なのかそれとも焼けたのか知らないが、やけに黒いクラスメート、青峰大輝。体育館に行く道すがら仲良くなった。そして、それから。

「大ちゃん!」
「おう、さつき」
「あれ? 大ちゃんが女の子と仲良くなってる……!」
「同じクラスの……そういやお前名前なに?」
「烏丸円! さては自己紹介の時青峰寝てたでしょ!」
「あんなん爆睡しかねえだろ」

長い髪をなびかせながら駆け寄ってきた美少女、青峰大輝の幼馴染み。桃井さつき。
彼女ともぜひ仲良くしたいところである。
同じ女子マネ希望らしいし、頑張ろうね、と手を取り合って入部届を出した。

まあ、結論から言えば、青峰は所謂すごいやつで。一年マネージャーは三軍のマネジメントをするのが常なので部活中顔を会わせることもなかったし、更に一月もしないうちに幼馴染みの桃井が一軍に付くように言い渡されて、私は一気に部内の友人が遠退いてしまったのだった。


 
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