そして事件は起こった。

 


二年になったばかりの時。

「……円ちゃん」
「うん? どーしたの桃井ちゃん!」
「なんであの人と仲良いの……?」
「……黒子?」
「そう!」

なんで、と言われてもなあ。

私は三軍で付き合いがあったし、あいつは普通にいいやつなんだけど。
あまり関わることがない桃井の印象は、変な奴止まりだ。仕方ないかも知れない。

「まあ、そのうちわかるよ。そんなことよりさ、こないだの昇格テスト、黄瀬が上がってきたって?」

黄瀬涼太。
同い年で、なんかモデルやってるらしくてイケメンで、まあ女子に人気のやつ。
聞いた限りではこと身体を動かすにかけては天才肌のようだ。
別に知りたいわけでもないのだけど、彼の噂は事ある毎に女の子達が流してくれていたので、そういった話をよく聞いていた。

「え、ああ、うん」
「ついこの間二軍に入ったばっかのヤツでしょ? ルールもろくに知らなかったって」
「うん、そう聞いてる。でも、凄いセンスよ。レギュラーも取れそうなくらい」
「ふーん……」

しかし、なんともプライドが高そうで、どにも何か一波乱ありそうなもんだなあ、なんて思った日の部活。

「黒子、ユニ来たね、おめでと!」
「あ、烏丸さん……はい。ありがとうございます」
「今日の帰りお祝いしよ! シェイク奢るから!」
「ほんとですか。それは楽しみです」
「……で、いきなり試練だね」
「……まあ」

黒子が、黄瀬の教育係になってしまった。
案の定黄瀬は黒子を見下している。全力で力一杯なめている。

「びっくりする程ペロペロだねあれ。大丈夫なの黒子で」
「知らん。だがまあ黄瀬がなんと言おうとあいつもれっきとしたレギュラーだ」
「お。緑間って黒子苦手じゃなかった?」
「人事を尽くしている奴は嫌いではない」
「なにそれ緑→黒フラグ?」
「全力で止めろ」

あと、黄瀬が入る少し前。
私のうっかりミスが、緑間との友情を無闇に深める結果になった、と言うことも一応記しておこう。


 
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