▽問題提起。 
 


冴子に持ち込まれた頼み事で、田中が頭を悩ませていたクィディッチの事、とは。
先日の一年選考が問題だった。
なんと烏野寮からは一年が二人も選出されている。
片方は純血のお坊ちゃんな天才児なのに対し、もう片方はなんとマグル出身。しかも後者はシーカーだ。

それで、この二人。どうやらすこぶる仲が悪い。らしい。

原因わかってんじゃねえかと思いながらも、面倒かけてごめんな、と微笑みかけてくれた菅原のマイナスイオンに免じて許す事にする。

が、観覧席にいることになった私に渋い顔をしたのはクィディッチ教官の烏養だ。
念の為、と二重、三重くらいに私に魔法をかけて。

「いいか陸奥。いざという時は躊躇わずに杖を振れよ。絶対だからな」

と険しい顔で言われたので苦笑して頷く。
一年や二年は首を傾げて見ていたが、私はなにも言わずに観覧席に登る。

練習を見ていると、なる程酷いものだなと思った。
二人の仲の悪さもまあまあだが、それだけではない。
なにって、マグル出身の彼の飛行技術だ。
マグル出身なら仕方ないだろうなあと私達は思うわけだし、あれほど酷い飛び方でも彼は箒から落とされる事無く、そして既にシーカーに任命されている。
それは、烏養にそうさせるほどのなにかが彼にはあるということだ。

まあ、なのだけど。

もう一人の彼はどうにも気に入らないらしい。
技術が無いことが?
それはもっともだろう。だけど、そう言うよりは。

「恵まれたセンスを制御出来ない拙い技術が目に余る……ってとこかな」

仕方無い、少しだけ教えてやるかと観覧席の階段を駆け下りた。

「ヘイ新人シーカー! 君、名前は?」
「えっ……!? あっ、えと、日向翔陽! です!」
「おお、かっこいい名前!」
「へっ、あ、ありがとうございますっ」
「では日向くん! ちょっと箒に跨がってみなさい」
「は、はいっ」

私が言った通り、ピシッと日向は箒に跨がって見せた。
それを他の三年や二年が不思議そうにして、もう一人の一年も訝しげに見ている。

私の意図を理解したらしい烏養は苦言したそうだったが、大丈夫大丈夫と笑顔で伝えて。

「では失礼」
「えっ!?」

日向の真後ろにぴったりくっついて、箒に跨がって、腕を前に回して握る。
烏養以外の面々がギョッとした顔をする中、私達二人が乗った箒はふわりと浮いた。


 
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