▽ここまででやっと上半期 
 


クイディッチ三昧の交流会が終わり、夏休みの最初の2週間が終わった。私がブラッジャーに狙われたのは例の一件のみとなったし、これでようやく実家に帰れる。

「みんな、またね。赤葦くん、くれぐれもこの馬鹿を宜しくね」
「……善処します」
「どーいう意味だ!」

飛び立つ準備をするログハウスの前ではあちこちで別れの言葉が交わされる。
保護者よろしく赤葦に頭を下げる私の隣で、黒尾が馬鹿やるなよとニヤニヤしながら言った。

「出るぞー! 早く中に戻れー!」

梟谷の先生の言葉に、慌てて各校選手達が乗り込んでいく。

バタンとやや荒々しくしまった音を合図にしたように、やってきた時と同じく、大きな梟達が一斉に羽ばたいて、ログハウスはふわりと浮いて。
それから高く高く、そして遠くなる。

「……次、冬にも来るんだっけ?」
「かもって話、うちの先生がしてたな」
「まだスケジュールは調整中だって」
「ふーん……」

他校との交流会と言うのは中々珍しい事で、そうそう実現されるものではない。
だが、一つ実現されれば、また一つ実現できる可能性は膨らむものだ。

約三ヶ月後、果たしてどうなることやら。

「陸奥、寮に戻るぞ! 俺達も荷物!」
「ん、そうだね。今行く!」

いつまでも空を見上げているわけにも行かない。
私達だって、今日、学校を出なければならないのだ。

交流会の為に特別に残っては居たけれど、それが終わればすぐにでも放り出されるらしい。
学校特急が東京駅の魔法界用ホームに向けて出発するまで、あと2時間。

茂庭に急かされながら、南塔の階段を駆け上がった。


 
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