▽相変わらず馴染みやすい奴だ
「あらっ、日向が木兎と仲良くなってる」
「あっ、陸奥さん!」
「おう雛子!」
昼食時。赤葦は結局私の隣で食べていったが、ばらばらと疎らに散らばって食べる選手達を見回すと、烏野のテーブルがやたらに賑やかで。
原因は殆ど幼馴染みだった。
「あれっ、月島くんも居るじゃん。木兎みたいなの嫌いなタイプかと思ったんだけど」
「おいっ! どういう意味だ!」
「まだ嫌ってはないです。苦手なだけで」
「うぉいツッキー!!」
「それ止めて下さい」
烏野のテーブルに日向、木兎、月島。
そして背中合わせの音駒のテーブルに、黒尾とリエーフ、研磨が居た。
成る程賑やかな面子である。
「どお、日向、月島くん。こんなだけど、プレイ中は全国5指は伊達じゃないでしょ?」
「…………まぁ」
「はいっ! すげー速くて、グワッとしてカッコいいです!!!」
「あっははは、素直だねえ二人とも。まあ私が言うのもなんだけど、コイツの飛び方は見てて損はないよ」
もうそろそろ、この交流会の終わりも近いしね。
そう言うと、今まで緩みまくっていた日向の顔がキリリとした物に変わったし、月島の顔はなんとなく鋭さを増した。
だのに、木兎といえば。
「雛子が俺のこと褒めるとかなんか怖いな!」
「もうぜってー褒めてやんないかんな」
私達のやり取りを聞いた黒尾とリエーフが遠慮無しにゲラゲラと笑って、研磨が小さく、
「……みんなうるさい」
と、不満げに呟いた。
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