▽みんな愛情が過激すぎる 
 


あの後、ブラッジャーを片付けた先生達までが競技場からすっ飛んできて、やっぱりまた各寮の寮監の先生達にまで怒られた。ただ人助けしただけなのに。

いつもは私を擁護してくれる茂庭と青根、小原でさえ、

「今回は陸奥が悪い」

と言うし頷くしで、散々である。

「もー……みんなが私の事大好きなのはわかったけど〜、私だって人助けしてたんだからそんな怒らなくていいじゃん!」
「そういう態度だから余計怒られんだよ馬鹿」
「いたっ!」

完全にふてくされてソファにふんぞり返る陸奥の後ろから、笹谷が容赦ないチョップを落とした。
隣に座っている茂庭は、やはり「反省しろよ」といつになくドライだし、正面のソファに座る鎌先と二口もうんうんと頷いている。完全に彼女の味方は居なかった(まあ全員が全員、彼女の身を案じてのことであるが)。

彼女の特異体質を初めて目の当たりにした作並にさえ、もっと気をつけて下さいと言われてしまったくらいである。

「ブラッジャーで怪我はしなかったけどみんなが私に怪我増やしてる! ヘッドロックかけたり殴ったりチョップしたり叩いたり!」
「愛でしょ」
「なにそれ雑すぎんだけど。二口生意気」
「やっぱ雛子さん残んない方が良かったんじゃないスか」
「ああ、それは原因にも言われた」

寮に戻る前、冷ややかな視線と共に、「お前がそこまで馬鹿だとは思ってなかった」と言われた。
私だってこんな事になるとは思わなかったものだ。

「まあ、こんだけ愛されてんだからそろそろちょっと自重すれば?」

ソファの後ろから顔を出して、ニヤニヤしながら言う笹谷を見上げて。

「死にたくないし、善処するわよ」

フンと鼻を鳴らして肩をすくめた。


 
[ 52/61 ]



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -