▽みんな頑張れよ 
 


交流試合の開幕戦は、梟谷グループを呼ぶ足掛かりとなった猫又率いる音駒と、グループの大元である梟谷の試合となった。

梟谷のシーカーは木兎で、黒尾のブラッジャーが嫌すぎるとボヤいていたのを聞いた。

「なあ陸奥」
「ん?」
「お前、梟谷のシーカーと知り合いなのか?」
「あー、うん、まあ」

マグル出身を公言している以上、木兎と昔馴染みだと説明するのは面倒で適当にボカす。
それを知ってか知らずか、ふうんと言っただけで茂庭はそれ以上追求しては来なかった。

城中が浮き足立って沸き立つクイディッチの時間が刻一刻と迫る中、陸奥一人だけがぼんやりしていた。当然今回も、特異体質のおかげで一人城内に留まることを余儀なくされている所為だ。
仕事のある明光を連日呼び出すわけにも行かないし、先生も生徒も森番の冴子に至るまで、クイディッチ観戦はやはりこの魔法界では共有の楽しみだ。

ずんだを呼んで、彼にスコープを括り付けて茂庭に預けた。

なんだかんだ言って、幼馴染みが三人も揃っての試合だ。直接見ることは出来なくても、記録して後から見るくらいはいいだろう。

「このまま連れて行けばいいのか?」
「うん。小さいし、好きに飛び回らせとけばいいよ。後で連れ帰ってくれれば」
「わかった。気をつけて飛べよ〜、ずんだ〜」

茂庭の肩に乗って、爪先でこしこしと嘴を撫でられると、気持ちよさそうに目を細めた。
私と茂庭が中学からの付き合いならば、ずんだと茂庭も中学からの付き合いである。
よく懐いていて、時には私より素直に言うことを聞いているようにすら思う。

「んで、陸奥は? 今日はどうすんの?」
「うん……まあ、ほどほどに?」
「……ほんとに、ほどほどにしてくれよ?」

茂庭の問いに、ニヤッと笑った私がどこかの隠し部屋を使おうとしていることくらい、彼にはお見通しらしい。
溜め息と、少しの困り顔で見送られながら城の中に引っ込んだ。


 
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